韓国社会の反応:ブッシュ大統領と脱北出身者との会談から
【大紀元日本6月26日】南北次官級会議から、韓米首脳会談、韓日首脳会談を経て、ブッシュ大統領と姜哲煥(カン・チョルファン)との面会に至るまで一連の出来事で、韓国社会では北朝鮮問題が大きな注目を集め、韓国の人々はこの数年間の北朝鮮への懐柔政策に対する見直しを迫られている。
姜氏は『平壤の水槽:北朝鮮地獄の強制収容所』(The Aquariums of Pyongyang: Ten Years In The North Korean Gulag)を著した。著書の中で、姜氏は、政治犯として摘発された祖父とともに北朝鮮強制労働収容所で9歳から10年間を過ごした体験を述べている。北朝鮮住民の人権状況、強制収容所での強制労働、各種の残酷な刑罰、瀕死の状況にある住民生活などの実態も暴露している。
朝鮮日報の報道によると、ブッシュ大統領は姜氏との40分の会談中に、北朝鮮問題に対する見解を求めた。姜氏は、国際上何よりも核問題に大きい関心をもっているだろうが、北朝鮮住民にとって人権問題が核問題よりさらに切迫していると答え、国際社会が北朝鮮に人道支援を提供しているが、最終的には一般住民はこれらの援助物質を目にしたことはない。国際的援助は一時の危機を緩和することしかできず、根本的な解決になっていないことも明らかにした。
「韓国人はなぜ、金正日(キム・ジョンイル総書記)政権の人権蹂躙のことを憤らないのか」とブッシュ大統領は世論に問うた。これをきっかけに朝鮮日報で「韓国人が北朝鮮の人権問題を憤らないのか」と題した論文を発表し、姜氏はブッシュ大統領とホワイト・ハウスで面会できた。しかし、韓国の盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領には、青瓦台(大統領府)で脱北者と面会することで北朝鮮の非人間的生活に理解を深めようという姿勢が感じられず、盧大統領が休暇中に読む読書リストの中にも、脱北者に関するものは見られないと指摘した。
実際、韓国国営テレビは90年代末ごろから北朝鮮の人権問題に関する番組の放映を禁止したのである。韓国マスコミのこうした方針から、韓国人は北朝鮮のことをあまり理解できず、北朝鮮政権に対しても何の期待も抱いていない。韓国がこの数年来の「太陽化政策」をあまりにも強調し過ぎ、北朝鮮は南北会談を回避しただ要求だけでその代価を払うことを拒否していることから、韓国は始終北朝鮮の言いなりになっていると、金大中前大統領(ノーベル平和賞受賞)はコメントしている。
かつて、北朝鮮のスパイを務めた安明振氏は脱北後、韓国が北朝鮮と和解することは、北朝鮮にだまされる可能性があるとした。韓国で生活している北朝鮮人らにとって、韓国政府が北朝鮮政権と和解し支持していることが驚きであった。
一方、姜氏は会談中、韓国政府が北朝鮮に展開している懐柔政策は、ただ北朝鮮政権だけに利益があり、あげくに北朝鮮人民が独裁政権の犠牲になる手助けをしていると言及した。