二つの祖国を生きて(下)

【大紀元日本9月3日】私は中国において五歳の時、新中国の誕生を迎えた。しかし、新たな中国が建国されてから、中国共産党(以下中共)は、“暴力”をもって政権を維持し続けてきた。「土地改革」「公私合営」(工商改造)「粛反」(三反、五反、反右)から「文化大革命」に至る一連の運動は、本当に驚天動地であった。

帰国後には、「天安門事件」や「法輪功」迫害事件も起きた。

中共は、建国以来人を統治・殺すためあらゆる卑劣な手段を使い尽くし、階級による他の階級への攻撃、すなわち「階級闘争」をずっと行ってきた。中共が言う「人民戦争」というこれらの運動は、いずれも中国国内の内部戦争だと私は考える。運動が起こるたびに殺された人は全部でおよそ八百万人だという。

私は、それぞれの運動についてそれぞれいくつかの事実を記し、私の実体験をもとに中共の邪悪の本質を摘発したい。

一 土地改革

中共は、貧乏人を動員して地主を闘争させ、その財産を分け尽くし、奪い尽くし、地主たちが殺されても一切かまわなかった。地主を闘争させた際に、彼らを家の梁に吊るし上げるなどして、帯や棍棒や革の鞭などさまざまな酷刑の道具で殴打していた。その中に、真っ赤に焼いた焼き鏝(こて)でその体を焼いたりするような人もいた。これは「仇があれば仇を打ち返し、恨みがあればその恨みを打ち返す」といって、人を殺しても一切かまわなかった。実に法はなく天をも無視していた悲惨な世界であった。

二 工商改造

これは労働者階級が資本家階級に対して行った攻撃である。この運動の内容は、資本家にあらゆる資産、金銭、物質を納め出させることであった。さもなければ農民らと地主による闘争と同じような境遇に遭わせられるのだ。この工商改革という運動の中で酷刑などによって亡くなった人も少なくない。

三 粛反(三反、五反、反右)

この方針は、「蛇を洞から這い出すように誘惑して一網打尽にする」ことであった。“誘惑”した方法は、以下のようである。中共に率直に意見を提出することは、党の風紀維持に協力的なことであるので絶対に咎めない。このように見かけでは相当民主的なものであったので、インテリたちはこれをすっかり信じこんでしまい、自分の真心によって真実を話した。しかし、思いがけないことに、人が「花」と言えば、中共には「毒草」に変わってしまうのだ。もし閉口すれば、口を開かせようとする。

私の友人である丁玉林氏は、同僚の劉喜氏と一緒に調査及び村の運動を指導するため農村に派遣された。実地調査していたころ、食糧が甚だ不足していたので、丁氏は上に「農民の食糧が不足している」と事実のままに報告した。この事実を伝える一言によって、彼は右派にされてしまった。彼に引き替え、劉氏は嘘を報告したため、かえって県の宣伝部に抜擢され、まるで中共の息子のようであり、用心棒となった。

当時、本当に心から中共の風紀維持のためだと思って真実を言った者は、一人残らずみな「大右派」にされてしまった。何も異常なしと言った者は皆「共産党忠実派」とされていた。これを歴史的な教訓にして、すでに中共の手腕を見抜いた丁氏は、それ以降あらゆる運動が起こってもひたすら閉口していた。中共内の党員でさえも心の中では中共の悪質を知り、中共の末日はそう長くないと分かっていたであろう。

四 大躍進政策失敗による大飢餓時代

中国共産党指導部は、農業・工業の高度成長を目指す壮大な「大躍進政策」(1958)を推し進めた。しかし、市場原理を無視して人民に厳しいノルマを課し、ずさんな管理の元で無理な増産を指示したため却って生産力が低下、資源を浪費し、農地を荒れ果てさせた。それに天災も追い討ちをかけ、経済の混乱と大量の餓死者を出すという結果を招いた。一日200グラムしかないわずかな食料は、生まれて間もない一人息子に食べさせたため、私は飢え死に寸前の生活を送っていた。大躍進による餓死者数は2000万から5000万と言われている。

五 文化大革命

文化大革命以前、毛沢東は孤立し統制の危機に面していた時期だった。そのため、彼は文化大革命(1960年代後半)を起こし、中国全体を無政府の混乱状態にさせてしまった。これも一つの真の人民戦争であった。

良い人は良い人と闘争し、だんだん武力闘争にまでエスカレートしていった。軍隊や地方武装部隊も介入し、お互いに実弾の入った銃で撃ち合った。最後に周恩来や毛沢東自身にまで危険が及び、ようやく終焉したのである。運動の中で、善人が悪人になり、悪人が善人になり、白と黒の弁別はなかなか付かなかった。その後、造反者だった青少年たちは農村に送られ、「思想改造」や「貧農からの再教育を受ける」ことになった。

当時、私はそもそも政治に関わる者ではなかった。しかし、私が日本にいる兄や姉たちに手紙を書いて送っただけで、政治問題に拡大され、「日本のスパイ」だとされた。実は私は手紙の中でただ中共の分配政策について書いただけだった。しかし、このようなことですら言い出してはいけなかった。例えば、一人当たりの食糧や油や布などのチケット(大飢饉時代後の配給制のとき)がどれぐらいあるかなどを言えば、すぐに秘密漏洩とされるのである。すなわち、党の政策は、一般人の口から言い出してはならず、ひとたび言えば「地主、富農、反動派、右派」などとされた。

当時、法螺(ほら)が上手く吹ける者、ご機嫌がよく取れる者ほど良いとされていた。

私が所属していた「十間房大隊」に李占春という人がいた。仕事をしているとき、出勤や退勤のときにいつも「毛沢東万歳!毛沢東万歳!」と叫んでいたので、共産党党員として受け入れられた。真実か虚偽かを問わないのが共産党員なのだ。このことから見れば、共産党の内部では、ご機嫌取りができる者は多いだろうと思われる。

私は、前述の件で批判されていた。批判を受けるもの専用の「高い帽子」を被らされ、また首に大きな看板を掛けられていた。そして、町の大通りを廻りながら批判されていた。そして免職された上に、また息子にまで私を批判させようとしていた。これは「境界線をはっきりさせる」ということで、本当に邪悪極まりないことだ。文化大革命が終わっても、私の「日本のスパイ」というレッテルは依然そのまま貼られていた。

後に、私は復職したがそれまでの教育とは打って変わり、教師が生徒に罵られ暴行を加えられた。学力テストに代わって毛沢東著作の習熟度いかんによって人間の価値が決められた。私は仕事中も監視され、学校の党支部の者は、常に上級機関に私の仕事状況などを報告していた。

私は監視され、打撃を受けていたので、祖国に帰ることを決意した。私は帰国途中、私服の公安人員は私が中国の税関を出るまでずっと監視していた。これこそ中共の邪悪の本質である。

文化大革命の間に、「撃つ、壊す、奪う」という無法行為によって、中国数千年の文明の歴史を破壊してしまい、文化は壊滅的な打撃を受け、経済も停滞していた。これは中国人民の大災難である。2000万人以上もの人々が死に追いやられた。

六 天安門事件

日本へ帰国後、中国では「天安門事件」(1989)が起きた。むろんこれは学生の愛国行為であった。しかし、愛国した学生が中共から無残に武装鎮圧を受けた。中共は口では人民の子弟兵は人民の生命と財産を守ると言っているが、しかし、中共はこの軍隊をもって人民と学生を鎮圧したのだ。事実無根の宣伝により、愛国運動の中でどれほどの学生が殺されたのだろう。この血まみれな事実を前に、中共には人間性があるかどうか問いたくてたまらなかった。

学生に同情した趙紫陽氏は、かえって反党分子とされ、死ぬまでずっと軟禁されていた。弾圧された趙紫陽が本当は濡れ衣を着せられた無実の人だったと誰しもがはっきり分かっているだろう。

七 法輪功迫害

中共は、表では「信教の自由」と言っているが、「真・善・忍」をもって修煉の指導とした法輪功学習者を迫害し(1992)、凄まじく虐殺している。江沢民と中共は、中国国内の学習者を弾圧・迫害するのみならず、魔の手を海外にまで伸ばしている。数多くのスパイを海外に送り込むと共に、利益をちらつかせ海外の政府まで買収に乗り出した。

駐福岡中国総領事館は、法輪功学習者のある男性に年間300万円を無償提供することで、法輪功に関する情報を提供するスパイとして買収しようとした。しかしその男性は拒んだ。言うまでもなく、これは中共の明確な邪悪の現われの一つである。

ある時、私たちは福岡総領事館前で請願活動をしていると、一人の若者が寄ってきた。彼は私たちを盗撮しようとしたが、学習者に摘発され狼狽して逃げていった。

中共は、海外の法輪功学習者に対し恐喝するとともに、ブラックリストに逐一登録していることも事実である。これは、最近オーストラリアに政治亡命した前中国外交官・陳用林氏も証言している通りだ。

日本の国籍を持つ私は、2004年7月に中国の親戚を訪れた際に、南京市の2人の安全局公安員に尾行された。彼らは、「親切心から」と言って、私に携帯電話を貸してくれた。その中に盗聴器が付いていることに気づいた私は、使い方が分からないと言って、カバンの中に置いたまま使わなかった。その後、私は方正県の友人の所に着いたとき、先ほどの安全局員は3人に増えていた。このようにして、ハルビンの3人の安全局員は私が帰国する飛行機に乗るまでずっと私のそばで見張っていた。次男が仕事で中国に滞在していたときも、公安に無理やり拘束され、法輪功関連の情報を聞き出すために脅迫された。

長男は、長年心臓病や脳腫瘍などを患っていたが、法輪功を始めたことで治療もせず奇跡的に治った。これはなんという不思議なことだろう。私はこの事実を公安員らに堂々と教えてやった。彼らも気功の病気治療効果を認めたが、ひたすらに法輪功創始者の李洪志先生に反対している。彼らは法輪功の中共に対する影響を怖がっていることは明らかである。しかし、人々が目覚めたときは中共が解体する時である。神は彼らを許さない。彼らそう長くないはずだ。

八 死刑命令

如何なる理不尽なことでもやれる中共は、本当に邪悪な霊がついているのだ。危機があるたびに、必ず「罪人」を殺すのだ。中共は、各省、各市、各県に殺す罪人の人数を割り当て、各省、各市はその通りに実行する。したがって、分配された人数が足りない場合には、無罪の人を殺してでもその任務を完成しなければならない。中共は、殺人をもって他の者を脅かし服従させるのである。このように常に殺人することによってその独裁統治を維持している。これこそまさに中共の邪悪な本質である。

九 売国行為

最も邪悪な江沢民も中共の邪悪史の上にさらにその「奇跡」を増やした。彼は台湾の何十倍にも相当する国土をただでロシアに譲り、また中国の子供(孤児)を養子としてアメリカなどに売りつけている。この中共が批准した人身販売という汚い行為も、中共の邪悪の歴史上にさらに汚れた一頁を残した。このことは日本でも大々的に報道された。

十 打倒反革命

中共は建国して以来、階級闘争を一貫している。つまり、中共の歴史は階級闘争の歴史である。中共は「地主、裕福農民、反革命、悪者、右派」を対象に終始弾圧し続けている。中共は全共産党員と全国人民をマインドコントロールし、虚言、詐欺、でっち上げ、威嚇、恐喝などを通して、人民を奴隷化している。こういった中国は本当に人間社会の地獄そのものである。

中共は、言論の自由、信教の自由、政治の自由を標榜しているが、いずれも嘘である。もし心に思っていることを言えば、その揚げ足を取られ、「反革命」と叩きのめされるのだ。共産党は自分を人民の上に位置し、絶対服従を要求する。何かを信仰すれば、迷信あるいは反革命組織参加だとされる。つまり、一党独裁はそれ以外の組織の存在を絶対に許さず、存在すればそれを打撃し、取締り、「反革命」と一括するのである。したがって、中共の本質は人間を弾圧し殺す邪悪な霊なのである。

十一 人間か悪魔か

中共は、全党員と全国民にマインドコントロールを行うほか、終始逮捕、拘留、虐殺などを実施している。法律に従わず、随意に家宅捜査、酷刑、罪を決定する。江沢民ら中共は「偽、悪、闘」を主張し、「真・善・忍」をもって良い人になろうとしている法輪功学習者を逮捕し、死ぬまで迫害し酷刑を実施する。法輪功学習者を迫害する手段は古今東西に類を見ないほど最悪な手段の集大成であり、実に残酷極まりない。

ベルトや棍棒や鉄筋などで殴る、電撃する、「虎の椅子」に座らせる、鉄筋の籠に監禁する、吊り上げて手錠をかけるなど。しかも性器や乳房などのようなところを中心に電撃し、また女性学習者を暴行する。そして、精神中枢を混乱させる薬を注射したりするようなこともしている。これは、人間性を絶する悪魔の行為としか考えられない。

十二 中共は匪賊

中共にとって、裏で工作をする、賄賂を渡す、着服をする、淫乱にするというようなことは、もう日常茶飯事となってしまい、いわば、中共はすでに全国民を奴隷とした封建貴族党となってしまった。中共は、共産党を絶対的存在にして、もし誰かが共産党の幹部に意見などを提出したら、それを共産党攻撃とする。つまり、共産党を共産党員たちの犯罪を摘発する矢を阻止する盾としているのである。

昔は工商改造をして資本家を滅ぼしたものの、今の江沢民一家は、新しい資本家となり、新しい貴族となっている。他にも、多くの官僚たちが新しい貴族となっている。これは本当に皮肉なことである。

中共は解体寸前

中共内部では、ずっと前から党の解体をはらんでいた。前共産主義国家ソ連は、経済の崩壊により共産党の解体を引き起こした。中共の解体もそう遠くない。神さえも許さない中共から、われわれは悪党の毒素を一掃し、人間性と良識を回復させると同時に、中共の組織から離脱することによって、その解体を促し、素晴らしく、輝かしい歴史を共に創り出そうではないか。

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