【北京の街角から】胡同

【大紀元日本8月28日】北京の大通りから一歩中へ入った細い路地を「胡同(フートン)」と呼ぶ。胡同の両脇には、中庭を東西南北の平屋で囲った「四合院」と呼ばれる北京独特の住居が並ぶ。かつては、「大きいものは3600、小さいものは牛の毛ほどもある」と言われた胡同。豆腐池胡同、金魚胡同、鋳鐘胡同など、そこに暮らす人々のかつての生活を垣間見ることのできるユニークな名前も少なくない。

しかし近年、街並みの再開発の中で、多くの胡同と四合院が次々に高層ビルに姿を変え、今では、地安門付近と前海と後海付近に残されるだけとなった。四合院の中にはトイレがなく、胡同の両端に設けられた公衆トイレを使わねばならないとか、車も入れないほどの狭い胡同が少なくないということを考えると、胡同の取り壊しは致し方ないことで、それを惜しむのは身勝手な観光客だけかもしれない。

取り壊しを免れた胡同は現在、格好の観光スポットとなっている。自分の足でゆっくり散策するのもいいが、縦横無尽に伸びる胡同を効率よく見て回るには輪タクを利用するのもいいかも。かつて北京市民に時を知らせた鼓楼や郭沫若故居などを見て回る2時間コースが、日本語ガイド付きで180元(約2700円)。普通の北京っ子の暮らす四合院の中まで見せてもらえることを考えれば、別に高くはないかも。

(懐旧)