日本水フォーラム事務局長・竹村公太郎氏「江戸100万都市は、奇跡の町」

【大紀元日本11月29日】東京港区政60周年記念事業として、都市の問題について考える「みなと水会議」が11月22日午前10時、東京港区の明治学院大学・白金キャンパスで開催され、これに先立ち港区長の武井雅昭氏が挨拶、「江戸時代の海岸線は、現在のJR山手線より内側にあり、明治時代には家族連れが潮干狩りを楽しんだ。明治40年頃から東京湾の埋め立て事業が始まり、次第に現在のような形になった」と近代日本の造成事業について説明した。

開催に先立ち挨拶する武井雅昭・港区長

基調講演では、NPO法人・日本水フォーラム事務局長の竹村公太郎氏が、「広重に見る近代文明の萌芽」という演題で講演を行い、「安藤広重の日本画から江戸の町事情、江戸幕府の治水事業を読み取って考えると面白い」と発言、150年前の江戸・日暮里は湿原で、現在では北海道の釧路湿原にしか生息しないタンチョウ鶴が生息していたと指摘した。

現在の利根川ジャンクションは、埼玉県幸手市付近にあり、一方は江戸川として南の東京都内に、もう一方は東の銚子方面へと伸びているが、江戸時代前までは、銚子方面への支流はなく、江戸の洪水を避けるために徳川家康が治水灌漑事業として約70%の水量を東に流すため、これを掘ったと説明した。

また吉原の由来として、江戸東部にはヨシが茂る大湿地帯が広がっていたため「ヨシワラ」と呼ばれ、ここに歓楽街を作り、一方では駿府から連れて来た軍勢三万の飲料水を確保するため、江戸開幕1603年の三年後の1606年に、現在の新橋「金比羅様」の付近、アメリカ大使館坂脇に「一大ダム」を構築したのが灌漑事業の始めだと述べた。

現在の東京では、利根川から水を毎日240万立方メートル(甲子園球場の四杯分)汲み上げ、飲料水としているが、当時の江戸もダムによって飲料水を確保できるようになってから、人口が増えて文明が栄えたと説明した。80年前の日本人の平均寿命は42歳であったが、上水道の利用人口増加とともに寿命も延び、現在では80歳にまで至ったと解説した。

また江戸当時の「日本堤」等、堤防の近くには、江戸幕府が神社を作って祭りを奨励、これは通行人に堤防そのものを踏み固めさせ、参拝客に堤防の初度決壊を報告させるのが目的であったという。当時の江戸は、利根川の決壊でたびたび洪水に悩んできたが、浅草の北方に日本堤を築き、ここに歓楽街を設けて人を集めて土地を固めた結果、洪水が減り、「江戸100万都市」の礎が築かれたという。

当時の江戸の町は、「土」「木」「紙」でできた奇跡の100万都市で、このような材料でできた100万都市は人類史上初であったと説明、江戸城の警備については、「虎ノ門」「麹町」「半蔵門」にかけ、特に「紀尾井町」は、紀州徳川、尾張徳川、井伊直弼大老の屋敷が並び、特に厳重であったと解説した。

また「忠臣蔵」の異説として、当時の赤穂浪士が警戒厳重な麹町に潜んでいたのはおかしいと指摘、「当時の江戸幕府がかくまっていたとしか思えない」と述べた。吉良上野介邸が警戒厳重な現在の東京八重洲口外堀通り廓内から警戒の薄い東部湿地帯の回向院付近(現在の両国界隈)へと移されたのも「江戸幕府が討たせたかったから」だとの考えを示した。

当時の江戸幕府は、幕臣を教育し、国民の道徳心を高めるための「伝説的逸話」が必要であったため、赤穂浪士に吉良氏を討たせることにより、後々まで「忠孝の道」を語り継がせるための教育材料としたという。また泉岳寺が、毛利家の霊位を供養するために徳川家康の肝煎りで建造されたことから見て、これは、「徳川家康の深謀遠慮だ」との説を披露した。 

講演の最後に、「江戸では、下水の処理はどうしていたのか?」という聴衆からの質問には、「当時の江戸では、町民の糞尿を郊外の農家に搬送して、代わりに米・野菜を江戸に輸送した。完全なエネルギー循環が実現していた」と述べ、「欧州では、最初はこれらの汚物を窓から投げ捨てていたが、やがて衛生上の問題から下水道になっていった」と西洋文明と対比して、生ごみなども町内で見かけない「バイオマス社会」であったとの認識を示した。

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