中国共産党と文化大革命
【大紀元日本1月3日】年末のNHK衛星テレビで中国の文化大革命の連続番組を視聴した。登場人物は何れも当時16百万人とも云われる、辺境の農村に下放された上海や北京の学生だった人達が当時を回顧する形式で放映され、所々にその頃の映像が鏤められたものである。登場人物は、その後、戸籍の問題も含め都市にもどれたのか映像の背景にも豊かな中流家庭と思しき室内が写っていた。多分,中国当局の厳しい検閲をパスしたものであろうし、ある程度はその辺の事情を推測しながら視聴したが、それでも文化大革命の実態を彷彿とさせるに十分な話でもあった。
当時の農村の貧困振りは残念ながら今も左程は改善出来てはいないのであろうが、延安地区の粗末なヤオトンに住み、貧しい農民の乏しい食料を更に窮乏させる事になった話、人民公社が悪平等に陥り,農業の生産性が落ちてしまった事、その癖、走資派とされる元の地主階級に対するいわれなき糾弾に毎夜のように駆り出された回顧談等である。文字通り燎原の火のように林立し粗悪な鉄を大量生産した愚行、あの土法と呼ばれた製鉄運動が華やかだった時代の前後の話である。
一方,都市部においては、高級官僚や工場の上級管理職に対する糾弾が続き、工場の生産性が悲惨なまでに低下し更には、夫々の単位で毛主席を守るためと称して人々が二つの派に分かれて争い,あの有名な名門重点大学である北京大学や精華大学においてすらその例外ではなく、夫々研究室や学部の建物を占拠し投石器まで作ってお互いにいがみ合った様子、兵器工場の労働者達が、最初は石や棒で争ったがやがては、兵器まで持ち出し発砲し悲惨な流血の惨事を起こしていた事実、あまつさえ個々の家庭においてすら親子や兄弟親戚の絆迄がズタズタにされ家庭が崩壊することも少なからずあったそうである。しかも恐ろしいことに個々の人民が夫々自分が批判の対象,或いは被害者にならぬよう他人を陥れるのを躊躇する余裕すら失っていった様子が控えめながら語られていた。これこそ恐怖政治であり、小説家であるウエルズが描いた世界ではなかったのか。あの頃、灰燼に帰した貴重な文物が果たしてどれほどあったのだろうか。中国は勿論,人類の誇るべき文化財が大量に破壊されてしまったのだ。それも中国共産党の名のもとに。アフガニスタンの破壊された世界最大級の仏教遺産と同じように。勿論、一級文物こそ保護されていたではあろうが、多くの寺院仏閣を始めとする庶民の周りの貴重な文物や歴史遺産がどれほど失われか。そのような愚行を推奨したのは誰だったのか。どのような組織だったのか。残念ながらそれが中国共産党であった。