中国廈門市:2日連続大規模デモ、汚染化学工場建設に抗議
【大紀元日本6月4日】中国福建省廈門(アモイ)市では1日と2日の二日間、合わせて2万人近くの住民が街頭で大規模のデモを行い、当局の高汚染性p-キシレン工場の建設計画を抗議した。2日に抗議者らが市政府の前で一時的に警察と衝突し、負傷者が出たという。今回の事件について、中国のメディアは一切報道しなかったが、当局はテレビなどで今回の抗議デモを非合法集会デモだと発表した。専門家によると、今回のデモは、携帯電話のショットメールなどを使って当局の情報閉鎖を突破し、デモの時間や場所などの情報を知らせてデモを成功させた
点が特徴であるという。
問題のp-キシレン工場は、台湾資本の翔鹭集团が現地政府の誘致で108億人民元(約1200億円)を投資した勝竜工場。p-キシレンはガンを誘発させやすい劇毒の化学品であるため、国際基準ではp-キシレン工場は都市から70キロ以上離れた場所に設置するのが一般的だが、同工場用地は一番近い住宅区との距離はわずか1500メートル、廈門市中心部及び著名観光地の鼓浪嶼からの距離も約7キロで、中国内外の同類工場と比較しても都市から最も近い距離にある。同項目は2005年中国国家環境部門の認定を通し、2006年11月に工場の建設が始まったが、同工場の危険性と建設の情報は市民に公開されなかった。工場の建設が始まった後、同項目の情報を初めて入手した環境専門家が調査を行い、p-キシレンの漏洩と爆発の危険性、それに伴う深刻な汚染問題の可能性がわかり、今年3月に百名以上の全国政治協商委員会の連名を中央に提出したにも関わらず、800億人民元(1兆3千億日本円)のGDP増に誘惑された現地政府は、同工場の建設を止めなかった。
4月中旬、同工場の問題は「財経日報」で初めて報道された。5月下旬、更に週刊誌「瞭望東方週刊」により報道され、各主要なニュースサイトに転載され、現地市民に巨大な反響を呼んだ。しかし、同報道を転載した雑誌は発行後、現地政府によりすべて回収され、ウェブに掲載された報道も削除された。政府の隠蔽行為は市民の怒りを買い、5月25日から、「p-キシレン工場は廈門市の原子爆弾、6月1日に抗議活動に参加するよう」と書いたショットメールは携帯電話を通して広まり、多くの現地市民に届いた。
ビデオ:化学工場建設に反対する廈門市民のデモ(映像:youmaker.comより)
目撃者によると、6月1日午前9時、老人と子供を含めて数千人が市政府の前で集結、「廈門を保護、PX(キシレン)を拒否」などの横断幕を揚げ、「人民のために働け」と叫びながら、市中心のターミナル駅と繁華街に向かって進行した。当局は各機関や企業に事前に参加禁止を命じたにも関わらず、多くの人々が続々とデモの隊列に加わり、午前10時ごろ、抗議者はすでに1万人を超えたという。正午前、市政府前に戻った抗議者が警察の警戒線を突破し、市政府の前で囲み、市長反対などのスローガンを叫んだ。午後1時ごろ、抗議者らは市政府前から退去し、廈門大学などを通って、学生たちの関心を呼びかけた後解散した。
同夜、市公安局は廈門テレビ局を通じ、今回のデモは「不許可集会」であり、今後デモに参加するものに対して、拘留すると警告した。また、市政府はすでに、p-キシレン工場建設をみあわせる決定を発表した。しかし、6月2日午前、建設現場付近の市民によると、工場の建設は未だに続いているという。
目撃者によると、二日朝、数千人が市政府の前に続けて抗議を行った。多くの警察と公安が、抗議者が市政府庁舎に近づかないように同庁舎を包囲した。午後2時半、当局が拡声器でデモ集会は非合法であるとアナウンスし、抗議者の撤退を要求した。警察と抗議者の間で一時的に衝突が発生し、負傷者が出て、撮影する抗議者も逮捕されたという。
電話取材で、当局が抗議者に対して報復することを心配しているかの質問に対して、年配の女性は「生きる環境さえもなくなったら、報復されることを心配しても意味がない」と答えた。
群集事件問題の専門家は、今回の抗議事件は、携帯電話のショットメールを使って当局の情報閉鎖を突破し、デモの時間、場所などの情報を知らせて二日間のデモを成功させたとし、「民衆運動を制御する上で、当局のこれまでのやり方は、今の新しい通信技術により効果がなくなった。廈門の大規模デモの成功例は、今後他の地域の群集抗争にも影響を与えると分析した。