夏至祭りへ、さあ~!

夏至茶屋で ローソク一服 灯す人

【大紀元日本6月20日】

【夏至茶屋】

夏至祭りを祝して季節限定で営業をする、走りのような店が出現しています。ご家庭の軒先や、ごく個人的な一室で開かれる夏至の日の茶会のことでもあります。太陽の日差しに感謝し、ナチュラルな憩いのもてなしで夏至のひと時を過ごす、スローライフな精神が求められています。ローソク一本が燃え尽きるまで、地球の精神と同調する一服をみんなと共感できれば、夏至茶屋の客人の極上な過ごし方と言えるでしょう。

【100万人のキャンドルナイト】

「でんきを消して、スローな夜を」2007年の夏至を過ごす新しいライフスタイルの呼びかけが、100万人のキャンドル実行委員会から出されています。今年の夏至は6月22日です。6月22~24日の3日間、20~22時の時間帯は電気を消してロウソクを灯し、地球温暖化や地球環境の未来を考えて、人と環境と地球に優しいスローライフな夜を過ごすよう提案しています。

キャンドルナイト・ムーブメントは2003年に始まり、日本の夏至を過ごすエコロジカルな地球サイズの祝祭として各地のピース・カフェで年々盛り上がりを見せ、普段着で迎えられる行事として浸透しつつ広がっています。

【スローライフから生まれた、夏至祭り環境イベント】

コカコーラはヒマラヤ山頂まで運び込まれて、登山客の喉を癒す必需飲料に登りつめました。ファーストフードもしかり。すべての領域で地球サイズの均質化が進んで、味覚文化の分母が同じになったコミュニケーション社会が到来しています。こうした時代のなし崩し的な趨勢に否を唱える人たちが、カウンターパンチの一撃を与えたのがスローフード運動です。カタツムリのスローな歩みが、そのシンボルとなりました。亀さんよりも、もっとゆっくりという時代の要請を、一手にカタツムリ精神が引き受けています。

グローバルな台所革命(台所から地球問題を見つめなおす)の口火を切ったのが、イタリア半島の田舎町、ブラでした。1986年、この町の蒸し暑い夏の一夜からスローフード運動が開花します。1980年代半ばにマクドナルド1号店がイタリアのスペイン広場に進出した時に、イタリアの美食家たちは伝統的料理スタイルや文化が衰退壊滅する危機感を抱いて、美味しい団欒の食卓を死守するアクションを起こします。

誰もが天才的な冗句を生み出す楽天的な「舌」を有するお国柄のイタリア人が、ファーストフード店の傍若無人な席捲をただ拱手傍観しているはずはありませんでした。17世紀フランスのあまりにも偉大な美食評論家であったブリア・バサランの著した『美味礼賛』のエスプリ―美食と人生の幸福についての高邁な精神―をマニフェストに組み込んで、国際スローフード協会が意気揚々と花の都・パリで1989年に設立されると、スローフード・ムーブメントは渇水を飲み込むように、あっという間に世界を駆け巡ったのです。

スローフードは、その国の郷土料理を最大限に重んじます。何より食卓の会話を楽しんで、人生のゆったりした過ごし方を滋養にする術を、おじい様やおばあ様や隣人から学ぶ機会を大切にします。半日かけて準備した料理を、数時間以上はたっぷりとかけて食べるのが礼儀であるという信念が、伝統的な心の片隅できっと肯定されているのでしょう。

スローフード・ムーブメントはスローライフへと必然的に直結し、ファーストを至上主義とするライフスタイルそのものに根底的な疑問を投げかけました。そして郷土の風土にマッチした美味しくて豊かな人生のあり方を、もう一度仕切りなおして創造する活力とヒントを与えました。

いくら急いでも到達しないのが、スローな世界です。快適で幸福な世界はスローな精神から生まれるという覚醒が、地球環境をスローダウンして浄化する環境イベントと結びついたのは必然でした。日本の夏至は梅雨空に覆われて、これといった晴れやかな行事もなくぱっとしませんでした。梅雨空を晴らして曇天の雲を払い、夏至祭りの風を日本の各地に吹かせる方法を提案したのは、スローライフ・ムーブメントの手柄でした。

【地球に優しい~那須高原・夏至祭り~】

第5回那須高原「夏至祭り」の、今年のテーマは『森とあそぼう』です。栃木県那須高原アースランド「ポカラ」で開催されます。6月22日正午に始まり24日夜終わるというスローなスケジュールです。

この祭りでは、参加者全員がスタッフという意識を共有する事が大切にされています。環境メッセージを携えている人達が交流し、交感しあって参加者全員で演じられる祭りです。ライブパフォーマンス、アート、ワークショップ、講演会など盛りだくさんのおもてなしが用意されています。

高さ1000メートルの高原の息吹から、地球に優しいメッセージがそよいで涼しい夏のひと時を満喫する事ができます。2003年、貴重な那須の緑と水源を守ろうという主旨で行われたゴミ拾い祭をきっかけに、環境意識の高いさまざまな人が集まり、日本の新しい伝統・夏至祭り誕生の姿を示す見事なお手本となりました。

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