世界最古の国際大学・ナーランダ寺院、再建へ=インド

【大紀元日本8月10日】インド北部のビハール州にあるナーランダ寺院遺跡は、5世紀から12世紀まで続いた仏教学の聖地であり、世界最古の大学の一つであったが、1193年にイスラム勢力によって破壊されたと言われる。インドは現在、日本などのアジア諸国と協力して、破壊から810年余り経つこの遺跡を再建する準備をしているという。中央社が伝えた。

ナーランダ寺院は、427年前後に、ビハール州の州都パトナーの東南55km付近に建てられた国際大学で、最盛期には、蔵書900万巻、学生1万人、教師2千人を誇る世界で最も古い大学の一つで、中国、韓国、セイロン(現スリランカ)、インドネシア、ペルシア(現イラン)の僧侶や学者がやって来て学んでいたという。中国唐代の高僧・玄奘三蔵も西域に経典を授かりに行った際この寺院で5年ほど学んでいる。

ナーランダとはサンスクリット語で「知恵を授ける者」という意味で、同寺院は古代インド佛教の最高学府であり学術センターであったと同時に、哲学、論理学、言語学、天文学、数学、医学などの知識も教えていたといわれる。

ところが、1193年、Bakhtiyar Khalji率いるイスラム勢力の大軍の侵略を受け、寺院と図書館は破壊されてしまい、多くの僧侶は殺されるか、チベットや隣国へ逃れ、廃墟となった。

1915年からドイツとインドの考古学者が、中国の「大唐西域記」の記載等を基に、30年以上に亘る大規模な発掘を行ったが、これまでに出土した面積は約14万平方メートルで、全体の10分の1にも満たない。

ビハール州は佛教の聖地で、州内には佛教遺跡が数多く見られるが、ナーランダ寺院破壊後、佛教が衰退し、現在では地元の住民の多くは、佛や佛教経典が何なのかを知らない。毎年多くの人がナーランダ遺跡とブッダが悟りを開いたブッダガヤを訪れるが、その多くは佛教の盛んな東アジアや東南アジアの人々だという。

ナーランダ寺院遺跡(写真=中央社)

ナーランダ寺院遺跡(写真=中央社)