本当の思いやりとは

【大紀元日本8月20日】ある冬の朝、大勢の人が聖地巡礼に急いでいた。聖母がご光臨になるという噂を聞いたからである。皆ほかの人に遅れをとるまいと先を急いでいた。一つには、何としても早く偉大なる聖母に会いたいという気持ちからであり、もう一つには、自分の敬虔な気持ちを見てもらいたいがためであった。

その人波の中に一人の中年男性がいた。彼は小学校の先生で、早くから聖母を敬い慕っていた。ところが、彼は途中で一人のお年寄りを見かけた。よれよれの服を着たその婦人は、寒い上にお腹がすいていたためか、道端に倒れていた。彼女の傍にお金や食べ物がたくさん置いてあるのを見ると、どうもすでに多くの人がこのかわいそうなお年寄りに気がついたようだ。ところが、立ち止まってわけを聞こうとする人は誰一人おらず、この息絶え絶えのお年寄りを何とかして助けてあげようとする人もいなかった。彼らはみな、偉大なる聖母に会いたくて先を急いでいたからである。

ところが、この中年男性だけは、お年寄りの様子を見て勇気を出して立ち止まった。彼は、お年寄りを助け起こすと、自分の着ていたコートを着せてあげた。そして、道行く人にお医者さんのいる近くの村の方向を教えてもらうと、お年寄りを背負って脇の田舎道に入って行った。

でこぼこして雪が残るどろどろの道を急いで歩いていくうちに、彼は自分が巡礼に行こうとしていたことをすっかり忘れていた。

人気のない静かな村の入り口に来たとき、お年寄りが突然話しかけた。「いい子だ、もういいから止まって私を下ろしておくれ。ずいぶん暖かくなりましたよ」。

彼はゆっくりとお年寄りを背中から下ろし、振り返って見ると、あっけにとられた。先ほどのよれよれの服を着て汚らしく、息絶え絶えだったお年寄りが、鷹揚で美しく、慈悲深く優しげな貴婦人に変わっていたのである。驚きで彼は何も言葉が出てこなかった。

聖母は彼に言った。「真の聖地巡礼者は、うわべだけの言葉や行いではだめで、あなたのように、慈悲深い思いやりの心を魂の奥深くにしっかりと持っていなければならないのです」。

我先にと聖地巡礼に急いだ他の人たちが誰一人として聖母に会えなかったのは言うまでもない。

(看中国より)

関連記事
甘くて心地よい糖分に慣れていると、糖を断つのは耐えられないでしょうか?糖を断った後の利点を考えると、それが絶対に価値があると思うでしょう。 「あなたの体は糖(加糖)を必要としていません」と、2型糖尿病の逆転に長期間注目している腎臓病専門の馮子新氏は大紀元のインタビューで述べ、糖を断った後、あなたの体には予想外の変化が起こると言っています。
このごろ、雨が降り続く中国各地では、雨上がりになると「危険な巨大カタツムリ」がたくさん出現しており、ネット上でも話題になっている。
米連邦控訴裁判所は、COVID-19パンデミックによる陪審裁判の停止措置を理由に、刑事事件を2度却下した判事をその事件から解任した。5第9巡回控訴裁判所の3人の裁判官は、ジェフリー・オルセン氏に対する訴訟はコーマック・カーニーから別の判事に再割り当てされると発表した。
米アラバマ州のパパが、10年以上にわたってトレードマークだったヒゲを剃り、子供たちに衝撃を与えました。
白衣を身にまとい、蓮の台座にたたずみ、柳の枝を片手に、純水の入った壺をもう片方の手にする観音菩薩は、慈母観音としても知られます。