書評:『ももの かんづめ』(さくらももこ著)

【大紀元日本9月21日】赤いお帽子をかぶり緑色の髪をなびかせた小人と話したことのある子どもが、昔はたくさんいました。小人の妖精から赤いお帽子をもらった子どもは、魔法の言葉をおぼえました。緑色のチョッキを着た小人が、手をつないで輪をつくって踊り、赤頭巾ちゃんが真ん中でじっとしていると、後ろの正面がぼーっと見えてきたようでした。

さくらももこさんは、静岡県清水市の青果店で生まれ育ちました。富士の山はいつでも見えるところにありました。山が富士なら、花は桜だと思いました。桃の缶詰は、ほんものの桃が魔法をかけられて、ままごと遊びのお店に並んでいます。「さくらももこ」という女の子の誕生です。さくらももこさんが桃の缶詰を、桜咲く日本の少女とお母さんに届けました。桃の缶詰には丸ごと、ちびまるこちゃんが詰まっています。

『ももの かんづめ』に「乙女のばか心」というエッセイがあります。姉様人形あそびのように、夢見る少女が理想の男性とのお嫁さんごっこを、飽きることなくリハーサルします。さくらももこさんは、照るてる桃色のはじらいで乙女のばか心と呼んだのです。姉様=新嫁遊びというのは、女の子が一度は夢中になる着せ替え人形遊びです。

さくらももこさんの場合はイメージの「着せ替え人形であり、少女勝手な塗り絵遊び」なのでした。国民的少女漫画アイドル・ちびまるこちゃんは、小学校3年生の女の子です。10才以前の女の子はイメージの変身の中で、かわいらしい人生を送っています。

さくらももこさんの本心の実像は、ちびまるこちゃんの中に詰まっています。『ももの かんづめ』で巻き起こった身辺雑記の顛末は、みんな小学校3年生の乙女心が仕出かしたことなのです。桃の缶詰を開けてコロンと寝転んで、こどもの「本」心を秋の空に読んでみましょう。

(虔)

関連記事
曹植が兄・曹丕の試練に詩で答える物語。家族間の争いと深い悲しみを豆と豆殻で表現した心に響く詩。兄弟の絆と知恵に思いを馳せる一篇です。
チューインガム1枚で数百〜数千のマイクロプラスチックが唾液中に放出される──UCLAなどの最新研究が示した、意外な“日常的曝露”の実態とは。
人に悪く言われても、怒らず、謙虚に接した翟方進。 相手の敵意を消し、関係を円満にしたこの逸話は、『漢書』に記された2000年前の人間関係の知恵です。 一歩引く勇気が、道を開きます。
東京の春を切り取った18枚の静止画を通して、春の希望と喜び、そして前向きに生きる活力を感じて頂けたら幸いです。
ローゼルは抗酸化成分が豊富で、血圧・血糖・脂質を下げ、がんやアルツハイマーの予防にも効果が期待されます。美容やダイエットにも有効で、薬食同源の代表食材として注目されています。