SARS対策の英雄ら、悲惨な集団陳情=北京

【大紀元日本9月29日】SARS(重症急性呼吸器症候群)対策の英雄といわれた医者と看護師ら約40数人が9月26日、北京市政府に陳情した。SARS流行時に、最前線に立って戦った医療関係者らは自らSARSに感染し、その治療のために大量のホルモン注射を受け、大腿骨機能喪失の後遺症で苦しんでいる。

2003年、中国共産党当局が意図的にSARSの発生を隠蔽したため、感染は拡大した。北京301病院の医師・蒋彦永氏は実際に病例を証言し、中国共産党衛生部部長がSARSを隠蔽した事実を世界に伝えた。

北京人権活動家・周莉氏の話によると、昨日彼女は陳情に行った時、陳情の行列にSARSと戦った当時の医師や看護師の姿が見えたという。彼らは各病院で最前線に立ち、感染した。治療のため、大量にホルモンを注射して大腿骨機能喪失を招いた。現在、彼らの多くは身体障害者になり、杖を使わないと歩けない状態であるという。

当時、SARSと戦った医療関係者は、その後、国家の英雄として政府に表彰された。その際、政府は彼達にこれからいかなる問題が発生しても、生活、給料と福祉待遇は保証すると約束したが、その約束は果たされていない。

周氏によると、この医療関係者達はすでに普通の仕事はできない状態で、ほとんど自宅で休養している。給料は全額支給されず、福祉待遇も在職者と比べて差がある。大腿骨機能喪失により、正常に歩くことさえ困難である。

昨日、陳情に行った医療関係者は白いTシャツを着て、胸に「新型肺炎後遺症の患者に注目を」、背中に「SARS」と記した。30~40歳の働き盛りが多く、数人は杖をついて歩いていた、車椅子の人もいた。

周氏によると、医療関係者達の陳情は以前にもあったが、北京市衛生局と衛生部は取り合わなかったという。危険を顧みずSARSと戦った上、政府は彼らを使い捨ての道具のように捨てた。彼らは、身体だけでなく心もずたずたにされたという。

最前線でSARSと戦った医療関係者は感染した後、大腿骨機能喪失になった=陳情に集まった医師や看護師(大紀元)

「新京報」の報道によると、SARSに感染した医療関係者は、回復後二ヶ月も経たないうちに多く大腿骨機能喪失の病状が現れたという。 北京の医療関係者の中にこの大腿骨機能喪失になった割合は2割から4割にも上る。

北京大学付属人民病院はSARSの被害が深刻な病院で、感染した医療関係者は93人いる。ある匿名医師の証言により、この病院では医療関係者40人が大腿骨機能を喪失したことが明らかになった。専門家は、ホルモン注射により血管が縮んで、酸素不足をもたらし、脂肪が血管を塞ぎ、大腿骨の血液不足になって機能喪失に至ってしまうと分析する。

(記者・古清児、翻訳/編集・侍傑)
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