H5N1型鳥インフルエンザ・ウイルスが変異、人への感染力増強

【大紀元日本10月8日】米ウィスコンシン州マジソン大学分校のウイルス学者・河岡義裕教授の研究チームは、「パブリック・ライブラリ・オブ・サイエンス」の学報で、H5N1型鳥インフルエンザ・ウイルスの一部たんぱく質が変異したことを突き止めた研究報告を発表した。変異したウイルスは、人類及び哺乳類動物への感染力が強くなり、しかも、この新型のウイルスはすでにアフリカおよび欧州大陸の広い範囲で発見されているという。

ウイルスの環境適応力が増強、低温増殖が可能に

報告によると、鳥類の体温はおおよそ41℃である。一方、人体の体温は約37℃、鼻および咽喉部の温度が33℃しかないため、鳥インフルエンザ・ウイルスの生存・増殖には適していない。しかし、変異したウイルスは低温に対する適応力が高くなったため、人体の上部呼吸道で生存・増殖が容易になり、より人体に感染しやすくなった。

河岡教授は、変異したウイルスは咳やくしゃみによって、人と家禽、人と人の間での感染が広げやすくなったと指摘した。

アフリカと欧州の広域で、変異したH5N1型ウイルス見つかる

報告では、アフリカおよび欧州で採取したすべてのサンプルから、変異したH5N1型ウイルスが検出されたという。

H5N1型ウイルスは2005年に中国の青海湖地域で、初めて大規模な野生鳥類感染死亡事件を起こした。変異したウイルスはこの地域から渡り鳥を通じて、欧州およびアフリカへ渡った可能性があるとみられている。

河岡教授は「現在、アフリカと欧州で流行しているのは、すべて同じ変異株である」とし、「変異したウイルスの形は1997年の同種ウイルス比べて、より哺乳類のウイルスに近くなり、人類の間で感染を起こすウイルスになる可能性がかなり高くなった」と指摘した。

H5N1型ウイルスは、胎盤を通過して胎児に感染

「希望の声」国際ラジオ放送の報道によると、米コロンビア大学および北京大学の共同研究で、H5N1型鳥インフルエンザ・ウイルスは、胎盤を通過して母親から胎児に感染することができる。この研究結果は英医学専門誌「The Lancet」の最新号に発表された。同研究では、H5N1ウイルスは呼吸器の感染を起こすだけではなく、その他の器官、免疫系および血液細胞にも感染することができるという。

北京大学研究センターは、鳥インフルエンザの感染により死亡した妊婦(24)の組織サンプルを分析した結果、4か月目の胎児は母親と同型の鳥インフルエンザ・ウイルスに感染していることが分かった。研究チームは、この妊婦と同じ原因で死亡した男性(35)の組織サンプルを分析した結果、死者の肺からウイルスの遺伝子を発見したほか、気管、リンパ腺、胃腸系、脳、肝臓、血液細胞、胎盤などからも同じウイルスの遺伝子を見つけた。

WHOの統計によると、1997年以降、329人が高病原性鳥インフルエンザH5N1型ウイルスに感染しており、その内の201人が死亡し、感染者の60%を占めているという。また、最多死者数が出ているのはインドネシアの86人で、中国にも現在まで16人が鳥インフルエンザに感染して死亡しているという。

今のところ、鳥インフルエンザに感染した人のほとんどが家禽によるもので、人から人への感染はわずかであると報告されている。科学者は、ウイルスの変異により、ますます人から人へ感染しやすくなっており、最終的に1918年に起きたスペイン風邪(感染者6億人で、死者4千万~5千万人に及んだ)のような世界大流行になることを懸念している。

(翻訳/編集・余靜)
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