予備拘束の問題
【大紀元日本10月13日】中国共産党の第17回党大会を前に、中国政府は、またぞろ民主化運動のリーダーからオリンピックに異論を唱える人士まで次々と拘束しているそうだ。その方法も相変わらず陰湿を極め,従来同様に国家転覆や反革命という大仰な罪状をちらつかせるのみか,暴力を振うケースまであるそうだ。その結果、連絡がつかなくなった人士の数が増えている由である。残念ながらこれが正しく中国共産党の標榜する和偕社会の実態であろう。改革を要求する声を強圧し共産党のやり方のみを是とする雰囲気を強引に作り上げる文字通りの羊頭狗肉である。苛烈を極める権力闘争の結果もあり共産党大会を無事に終えたい気持ちは分らぬではないが、民主主義社会ならこういう動きをファッショという。
国務院が、常套手段である「一部の下部組織による暴走や過剰警備」と弁解したところで、所詮はトカゲの尻尾を切る陳腐なやり方に過ぎず、もう醒めてしまった中国の民衆を韜晦することは不可能であろう。本来「人民に服務する」筈の共産党が「共産党に服務する特権階級化」したのは紛れも無い事実であり、戦時でもない平時に無数の民の運命を変え、政府高官から農村の隅々にまで共産党員による汚職が蔓延し,貧富の差が最早限界を超えた歪な社会、その故にこそ7300万人と言う人類史上空前の巨大政党組織から実に2700万人もの脱党者が出るのだから。公表党員総数の実に4割に迫る数字である。如何なる組織でも最早機能不全に陥る数値であり、既に共産党下部組織の過半数が中国共産党に見切りをつけたと言うのが真相であろう。日付以外信用に足る情報なしと酷評される人民日報と同様,中国の救世済民を共産党に期待する中国人を探すのは容易ではなかろう。
そもそも予備拘束なる手段は当局から見て社会の安寧を乱す不逞の輩を事前に取り締まる為の一種の超法的手段或いは必要悪とされているが、その対象が凶悪なテロリスト集団や悪事を企てる黒社会に対する犯罪防止のためならいざ知らず、高名な弁護士や上訴を願う人達を合法的に支援する民主活動家に適用するとすれば民主主義国家であれば直ちに為政者の失脚に繋がる大問題である。もし伝えられる一連の予備拘束が事実とすれば最早独裁政権による国家犯罪としか言いようがないし中国政府が自ら法治国家でないことを宣言するに等しい現象である。