「ゴーストタウン」のラサ、 夏河ではラマ僧が再びデモ
【大紀元日本3月17日】甘粛省夏河鎮にあるラブラン寺(拉卜楞寺)は、チベット自治区にあるチベット仏教最大の寺院である。3月16日(土)、多くのチベット人が暮らす甘粛省夏河鎮において、再度ラマ僧による抗議行動が発生し、数百名のラマ僧が、著名なラブラン寺から街頭に出てデモを行った。中共の武装警察は、抗議を行う民衆に、
信徒に見守られながら、ラブラン寺から街頭へ出て行く僧侶たち=2008年3月14日(MARK RALSTON/AFP/Getty Images)
催涙弾をもって対処している。
3月14日(金)、中共は軍及び警察、装甲車を動員してラサに進駐するとともに、デモを行う僧侶、民衆に発砲し、これを鎮圧した。中共政府は、14日の衝突で10人が死亡したことを認めた。他方、チベット亡命政府は、ラサにおいて30人の死亡が確認されたとしている。また、未確認の情報によると、死亡者数は100人を超えているという。中共がラサを鎮圧した当日、甘粛省夏河鎮において、約4000名のチベット人がラマ僧に率いられ、街頭でデモを行っている。
3月14日より、中共当局は、家屋ごとに僧侶の捜査を開始し、ポタラ宮で少なくとも10人が逮捕された。チベット自治区主席・向巴平措は、15日に強硬通牒を発し、抗議者に対し、17日(月)夜12時までに自首することを求め、さもなければ厳罰に処するとした。
多くの警察が、現在もラサ市内にある3大寺院を包囲している。このうち、セラ寺(色拉寺)では、2000人余りのラマ僧が閉じ込められ、外部と連絡が取れなくなっている。セラ寺のラマ僧はハンストを開始し、武装警察に対し、寺院を離れるとともに、逮捕されたラマ僧の釈放を求めた。また、RFAによると、デブン寺(哲蚌寺)の僧侶2名が手首を切って抗議を行い、その傷は深刻であるという。
3月15日(土)、中共の軍・警察、戦車・装甲車がラサ市内をパトロールしており、街を歩く人はほとんどいなかった。ラサ市全体が白色テロと軍事的鎮圧の状態に陥った。ラサを逃れた西方の旅行客は、ラサ全体が「ゴーストタウン」のように見えたと語った。
到る所に血の跡、ラサ全体が封鎖
AFPの報道によると、3月15日、約50人の外国人旅行客が、4つの飛行機に分乗し、チベットを離れ、成都に到着した。ラサを逃れた外国人旅行客は、3月14日に中共が発砲、鎮圧した後、ラサ市全体が
抗議デモと軍の衝突で、焼き討ちされた建物や車両=2008年3月14日、チベット首府ラサで(STR/AFP/Getty Images)
恐怖と混乱に陥っていたと語っている。
デンマークから来たラージョさん(58)は、14日の鎮圧後に飛行機でラサを離れた。彼女が成都空港で語ったところによると、多くの人が頭部を負傷し、到る所に血の跡が見られたほか、救急車、戦車、警察の姿が見られた。彼女は次のように語っている:“鎮圧が始まった時、私は現場に非常に近い所にいました。銃の音は聞こえませんでしたが、多くの地点で火の手が上がり、皆が走っているのが見えました。ガイドは私に、早く走るよう言い、ある人が我々を家に入れ、その門を閉めました。”
ラージョさんによると、15日午前のラサは、「ゴーストタウン」のようであったという。「ラサ全体が封鎖されました。多くの兵士がいましたが、彼らはコートを着た小さな男の子のように見えました」と語った。ラサ飛行場は混乱し、「誰もが非常に恐れて」おり、15日午前にラサを離れたいと考えていたという。
戦車が体の横を通り過ぎ、銃声が聞こえる
カナダ人女性旅行客がAFPに伝えたところによると、彼女は11日からラサにおり、当時、多くのラマ寺が閉鎖されており、鎮圧は14日に発生したという。「戦車が体の横を通りすぎ、銃声が聞こえ、濃い煙が漂いました」「本当に驚き、時々、立ち尽くすこともありました。私たちは、一体何が起こったのかよく分からず、また、外部と連絡を取る術がありませんでした」と恐怖を語った。
ドイツの旅行客であるウルリッヒさんは、成都空港で「銃声のような音が2,3発聞こえたため、私は朝2時に目が覚めました」と話した。同氏は、3月14日に妻と11歳の子供とラサに入った。「朝4時に再び目を覚ました時、私は2輌の戦車、兵士を載せた40台の軍用車を目撃し、様子がおかしいと思いました」という。
140台の軍用車がラサに
中央社によると、3月15日午前にラサを離れ、ネパールの首都カトマンズに到着したオランダ人旅行客のフランスさんは、24時間のうちに、部隊を載せた軍用車約140台がラサに進入したのを目撃したという。「彼らは容赦なくチベット人を攻撃しており、全ての地点に戦車がありました。したがって、今日(15日)に抗議を行うことは不可能でしょう」と語った。
都市活動が停止
3月15日にラサに到着した西洋人の学生(23)は「軍隊は、市内の到る所にバリケードを設置して封鎖を行っており、都市全体が基本的に活動を停止しています。あらゆるACホール、あらゆるホテルが閉店しています」と話した。
当地政府職員によると、彼らは移動を妨げられ、建物を離れることができないという。ラサ市労働社会保険局の女性職員は「私たちは、昨日(14日)からここに待機しています。誰も、許可無く出入りができません」という。この局は、ポタラ宮の近くにある。「装甲車がひっきりなしに通り、迷彩服を着て警棒を持った軍人が街頭でパトロールを行っています」と語った。
世界各地で中共のチベット人鎮圧に抗議
チベット亡命者及び支持者は、世界各地でデモ活動を行い、中共に対し、チベット人の抗議の鎮圧を停止するよう求めている。インド北部のチベット亡命政府は声明を発表し、国連が介入し、特使をチベットに派遣して中共による人権の侵害を調査するよう求めた。
海外の中国民主活動家60人近くが3月15日に連盟で公開状を発表し、中共による無辜のチベット人に対する暴力による鎮圧を非難するとともに、国際社会の良識ある人々に、中共の行為が、オリンピック主催国の行為準則に合致しているかを問い直すよう呼びかけた。
海外メディア:鎮圧は北京オリンピックにダメージ
英国の各有名紙は文章を発表し、国際社会に対し、中共に圧力を加え、チベット人の抗議活動への鎮圧を続けることを阻止するよう呼びかけた。ドイツ主要紙の論説は、チベット人の抗議は中共の圧力に対する反応であり、中共による鎮圧は、北京オリンピックに対するダメージとなる。
チベットの人権活動を長期にわたって支持してきたハリウッドスターのリチャード・ギア氏は、BBCに対し、中国がチベット人民に基本的自由を与えなければ、彼は北京オリンピックの阻止を支持すると語った。ギア氏によると、現在の状況のもとで、中国が適切な対応を取らなければ、オリンピックを阻止する必要があるという。