中国当局、報道関係者をチベットから強制追放=香港記者協会が非難
【大紀元日本3月19日】香港記者協会は昨日、チベットで取材していた香港報道関係者15人がこのほど中国当局に強制追放されたことについて、声明文を発表し、当局による記者への強制追放という措置を受け入れられず、真相を隠そうとする対応を非難し、チベット自治区における人権状況について懸念を示した。
17日午前、中国当局は、香港の7つの報道機関に所属する記者15人を専用車でラサクンガ空港につれ、強制追放した。また、記者が空港に連れ去られる前に、国家安全部の職員がコンピューター専門家と共に、記者の滞在していたホテルの部屋に入り、ビデオ及びメモリカードなどを没収したという。
香港記者協会は同日に発表した声明文で、当局の行動は、政府が昨年制定した『北京五輪及びその準備期間における香港及びマカオの記者による国内での取材に関する規制』に違反すると批判した。
同規制によると、香港及びマカオの記者は取材先となる公的機関や民間機関、及び本人の同意を得た上、直ちに取材活動を進むことができるという。同協会は、規制に従い、香港記者がチベットでの取材活動が合法であるだけではなく、市民の知る権利を守るという報道機関としての本来の姿勢を実行したと示した。
狙いは真相を隠蔽
同記者協会の麦燕庭・幹事長は本紙のインタビューに応じ、チベットで取材していた香港報道機関のすべての記者はすでにチベットから強制追放され、一部の人は成都及び北京に移り、また残りの記者は香港に戻ったと話した。麦幹事長によると、記者たちは、中国国家安全部の職員がパソコンの取材資料を削除したことについて、強い不満を示した。
麦幹事長は、中国当局が記者を強制追放したのは真相を隠そうとする狙いがあるからと指摘する。「記者の取材活動を禁止したことによって、人々に真実を隠そうとする上で自分たちの言い分だけを聞かせようとする印象を与えるのではないか」と麦幹事長は述べた。
また、麦幹事長は中国当局が発表したチベット鎮圧についての情報が非常に混乱していると指摘する。「新華通信社がラサで起きた抗議活動によって一部の人が死亡したと報道したに対して、チベット自治区当局の官員は一人も死んでいないと話した。人々はこのような混乱した情報に非常に困惑しているし、政府当局の情報の信憑性も疑わしくなる」と述べた。
チベットの状況へ懸念はいっそう深まる
18日午前零時(日本時間同1時)は、中国政府当局がチベット抗議活動に関与した人々に対して自首するよう求めた期限だ。当局がその時を選んで記者を強制追放したことに、外界はチベットにおける人権状況への懸念をいっそう深めた、と麦幹事長が示した。
「われわれは、自首を求める期限が過ぎたら、当局はどのような行動を起すかに注目していた。しかし、この敏感な時期になって、あいにく記者が強制追放された。これは、香港市民の知る権利を侵害したと私は認識する」と麦幹事長。
人権法専門家は、司法機関関係者の言行は人権法に違法しているか否かを監督する意味で、衝突が発生した地区現場に報道機関の記者にさらに取材をさせるべきだと指摘する。麦幹事長も、現場で記者の取材は人権を守るための一つの行動でもあると話し、これから中国政府当局に対して、香港記者が再びチベットでの取材を許可するよう呼びかけると示した。
蔡咏梅:「チベットの報道を続けよう」
香港の時事雑誌「開放」の編集長蔡咏梅氏は、報道機関の一員として、自分たちの職業理念を持ち続けるべきで、中国政府が真相を封鎖するのを許していけないと話し、香港の報道記者に対して、チベットに入るための努力をし、「中国共産党政府に、真相を隠ぺいさせてはいけない。チベットの人権状況を証明しよう」と呼びかけている。
今回のチベット弾圧事件について、香港記者15人は、各国の報道機関の中でラサでの取材を許可された少ない記者たちの中の一部。BBCを含む海外多くの主要メディアはチベットでの取材活動を拒否された。取材活動中の香港記者たちは、3月16日に武装した警察らがラサの住民区で捜査を行っていたことを一番早く伝えた。