四川省の大地震について
【大紀元日本5月15日】中国の四川省で大きな地震があった。犠牲者の方々に心から哀悼の意を捧げたい。平成7年の阪神淡路大震災の惨状は未だに記憶に新しいが、今回の大地震は新聞等によると更に規模の大きい巨大地震だったようだ。文革の後に発生した唐山大地震では当時の自力更生や秘密主義が禍してか外国にも詳報が伝えられず、中国人の友人から鉄道線路から見ると線路の傍に見渡す限り墓標の土饅頭が遠遠と連なっていたという話に暗然とした記憶があるが相当後になって実に24万人にも及ぶ犠牲者が出たことを知った。
今回は地政学上も山岳地帯が多く道路が至る所で断絶し救助活動が遅々として進まず被災者の焦燥もつのることだろう。一日も早く救助活動が本格化し被災者が雨露を凌ぎ飲料水や衣食に窮することのないよう関係当局の努力を望みたいものである。国務院も共産党中央も必死であろうし大量の人と物資が投入されるのではあろうが、時間との競争であり、ここは中国共産党の面子や建前はさておき外国の救難関係専門家の受入にも積極的に対応してほしいものである。大切な多くの人命がかかっているのだから。
昔から、蜀の桟道は有名な難所であり、諸葛孔明が隆中対で「天険沃野千里」と称し或いは李白が「蜀道の難きは青天に上るより難し」と詠ったように山岳地帯が多く昔から平地には漢民族が多い反面、山岳地帯には少数民族の村邑が多く散在し住居も石や煉瓦の住居がほとんどと聞くだけに被害も多かろう。日本でも地震対策は決して十分ではないが、それにしても今回多くの学校で大勢の児童や生徒が生き埋めになったという傷ましい情報があるのは朱前首相がオカラ建築と非難した汚職や手抜き工事の結果も影響しているのではなかろうか。官庁や地方自治体の建物も大きな被害を受けたのではあろうが傷ましい話である。
温首相が現地に出向き被災現場で手に軽傷を負いながら治療を断り救援指導に専念しているという報道もあるが、温首相が真摯に救助活動されているのを非難するつもりは一切ないが、天災自体は不可避でも人為的な部分での本質は中国共産党の腐敗体質にあるのではなかろうか。聖火リレーが国威高揚、共産党賛歌なのは分からぬではないが人民解放軍の近代化や月周回衛星よりも本来の主人公である中国人民の救世斉民こそ為政者の喫緊の仕事である。漢の宰相陳平が文帝に対し「宰相は、上は天子を佐け、陰陽を修め、四時を順にし、外は四夷諸侯を鎮撫し、内は百姓を親附す」と上奏した。昔の中国では天地の災祥を観て国政善悪の応とする風習があった。
一秒でも早く罹災者の救済が進むよう祈るとともに、オリンピックを契機に中国が真の民主化と法治に進むよう祈りたい。