四川大地震:多くの犠牲者出した都江堰の学校、公安庁が封鎖・取材禁止

【大紀元日本6月10日】四川大地震で生徒約300人が死亡した都江堰の聚源中学(高校)は現在、四川省公安庁により大量の警察官が送り込まれ封鎖され、取材や報道が禁止されている。現場封鎖とともに、現地政府は遺族に国家標準を超える見舞い金を支払っているという。ラジオ自由アジア(RFA)が伝えた。

都江堰聚源中学(高校)教室棟の倒壊は、300人近い生徒・教師の命を奪った。被災した学生の親たちが教室棟の耐震性に疑問を抱き、関係部門の鑑定を申し立てたが、妨害された。地方当局は多くの警官を出動させ、学校を封鎖し、メディアの取材を禁止した。被災した生徒の母親・董さんは「学校は24時間体制で閉鎖された。記者の現地取材は不可能となり、地方政府の警察が一日百人ぐらい常駐している。携帯電話で写真を撮っても、記者とみなされ連行される。この日もオーストラリアの記者が追い払われ、そのまま車道まで連行され、タクシーに押し込まれた」という。

都江堰政府地震災害救済報道センターに問い合せると、上記の話の裏が取れた。センター職員は聚源中学(高校)での取材禁止令を認めた。職員によると、この命令は四川省公安庁が下したもので、6月2日からメディアの取材を制限し始めた、制限範囲は学校廃墟と公安や軍隊の駐在地であり、四川省の統一命令であることがわかった。

被災した生徒の母親・董さんへの取材は、当初警察の妨害があった。董さんは「今、静かしてね、外に警察がいるよ」と言った。

都江堰報道センター職員は、子どもを亡くした親たちは情緒不安定になっており、政府の救済の仕事に影響が出る。それを防ぐために閉鎖命令を出したと弁解した。

閉鎖命令と共に、四川省政府は遺族に救済金三万二千元(約50万円)と福祉を優遇することを承諾した。中央政府の規定である救済金五千元(約10万円)の5倍だ。遺族らはすでに救済金の一部を受けたという。董さんによると、政府上層部の職員が自宅に救済金を持参したという。一括払いではなく、分割で支払われる。現段階で一万二千元(約20万円)支給された。それ以外に仕事や生活の問題、老後の問題も適切に解決するという。事故の原因となった建物の耐久性に関しては、触れなかったようだ。

政府の一連の手配について、董さんは、感謝しているが、お金をもらったとしても、法律に基づいて真相を究明することをやめるわけにはいかないと主張する。しかし、遺族を代表する弁護士は政府の圧力に耐えられず、辞退したという。

遺族の唯一の希望は国際社会の応援であり、この案件を引き受けてくれる弁護士が現れるのを待っている。ある親は「現場に来る勇気ある人もいない。政府が現場でサンプリング調査しており、その検証結果を待つしかない。政府が手抜き工事と判断すれば手抜き工事となり、政府はそれを認めないなら、われわれは何もできない。今、国際社会の支援と勇気ある弁護士さんの現われるのを望んでいる。この訴訟は続ける。子供達の死はこのままで済むわけはない。三万二千元で私たちの口を封じることができると思ったら大間違いだ」と語った。

中国国家総理・温家宝は地震直後、聚源中学(高校)を訪れた。聚源中学(高校)は今回の地震の焦点となった。まず、中央テレビ局が被災者を助ける状況を生放送した。その後、各メディアは教室棟建物の耐震性に疑惑を抱き追いつめたが、省公安庁が取材禁止命令を出した。この禁止命令は、地震後の自由取材が終了したと宣言したようなものである。情報封鎖、そして親たちへの救済金という懐柔、支援弁護士への圧力という形で真相の隠ぺい工作が進められる中で、聚源中学のような建物の「手抜き工事」で亡くなった多くの犠牲者の鎮魂の時はいつになったら訪れるのだろうか。

(翻訳・侍傑、編集・藤川)
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