「第2のラサ事件」:中国貴州数万人の抗議、警察発砲で4人死亡
【大紀元日本6月30日】中国南部の貴州市瓮(ウオン)安県で6月28日、数万人の大規模群集衝突事件が発生した。同月21日に女子中学生(15)が殺された強姦殺人事件に、公安当局は高層幹部の親族である犯人容疑者をカバーするため女子が自殺と鑑定、その結論を被害者の親族に同意するようと強要、それを断った親族までも殺されたなどの当局の対応に憤慨を感じ、中学生および市民ら約数万人が県政府と警察本部などを占拠、建物や警察車両に放火した。当局が約1500人の武装警察を現地に緊急配置、中学生を含め200人の抗議者を逮捕、暴行、発砲などで4人の死亡者に至った。
現地住民によると、29日夜までに現地は厳しい戒厳体制が敷かれ、30日は、衝突はすでに鎮静化した。五輪前の政治安定を最重要視とする当局は神経をとがらせ、新華社が同事件を「政府機構を攻撃する暴動」として報じた。現地の公安当局は同日、同事件に関わった「犯罪容疑者」を出頭するようとの通知を出した。インターネット上のネットユーザーらの書き込みも削除されている。
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現地の15歳の女子中学生・李樹芬さんが強姦・殺害されたとされる事件が発端である。調べによると、21日、李樹芬さんが隣近所の女子中学生王容疑者に呼び出され、容疑者のいとこ二人と王にレープされた後殺害され、近くの川に遺体を捨てられた。親族の通告を受け現場に来た警察が、調査を行わず同女子学生は自ら川に飛び入り自殺したと結論、県高層幹部の息子である容疑者らを無罪釈放し、遺族からの遺体の解剖調査との要求も拒否した。警察は川から遺体を引き上げることすら渋ったため、現地の中学校の教師である被害者の叔父は自ら遺体を川から上げた。警察は叔父に、自殺の鑑定結果に同意するよう強要した。それを拒否した被害者の叔父を公安局に連行、暴行を加えた。叔父は公安局から釈放された後、さら6人の私服警官に暴行された。重体となった叔父は病院に運ばれたが、6日後死亡した。
この情報を耳にした叔父の勤めていた中学校の学生らが怒りを感じ、先頭に立ち街に出て抗議した。警察当局が抗議の中学生らに暴行を加え、重体となった学生が数人も出た。それに抗議活動が速やかに拡大、4大中高学校の学生および市民らなど、1万人を越えた。抗議者らが役所や、公安局を包囲、警察の車両を壊し、役所に放火するなど激しい抗議を行った。
現地情報によると、現地の警官が足りないため、当局は周辺地域から約1500人の武装警察を調達し、現地に進駐させた。装甲車も導入されたとの説もある。抗議者を退散させるため武装警察は発砲や、高圧電気棒などを使い、その間、住民側は少なくとも4人が死亡、150人以上が負傷、大勢が逮捕された、うち、中学生数十人も含まれている。
被害者の叔父は死亡した後、公安局に抗議した被害者の叔母も暴行を加えられ重傷を負ったもよう。また、遺体の火葬を拒否する両親は当局に追われ逃げ回っているとの情報もあり、現在、遺体を入れた棺は発見現場に置かれ、多くの民衆が見張っているという。
被害者の里親と数人の民衆は大紀元の取材で、本件の経緯などを説明した。
それによると、現地の裏社会勢力は従来から政権の幹部と深く結託している。これまでにも十代の女性が強姦される事件が多発したが、当局は調査しようとせず未解決のままになっている。今回の事件の容疑者らも、県の公安局、県と省の共産党委員会の幹部と親密な関係にあるという。
「幹部は権力という守り札を握っているため、ならず者たちは恣意に振る舞い、やりたい放題。金も権力もない庶民は泣き寝入りするしかない。今回の抗議は李樹芬さんのためだけではない、皆のために公平を奪還するのだ」と抗議参加者らは口をそろえて語った。
中国当局はこの抗議活動の情報を封鎖し、国内のインターネットサイトでの関連書込みはすぐに削除され、官製メディアの新華社は「一部の不法の者が政府機構を攻撃する暴動を引き起こした」と報じ、現地政権は「厳重の刑事犯罪活動」「法律への挑戦」とし、首謀者の自首を促している。
記者が現地政権に電話をかけ取材しようとしたが、応対に出る者はいない。