上海市警官殺傷事件・控訴審:市民ら、再び警官隊と衝突
【大紀元日本10月15日】中国上海市で警察6人を刺殺し、一審で死刑判決を下された楊佳・容疑者の控訴審は10月13日、上海市高等裁判所で開かれた。全国各地から大勢の市民が裁判所付近に集まり、中国古代の人食い虎(とら)を制する英雄・武松に喩えられている同容疑者を支持した。一時は警察と支援者が小競り合い場面もあり、大勢が身柄拘束された。
楊容疑者は昨年、無登録の自転車を乗っていた際に、警官に連行され取調べを受けた。そのときに、虐待を受け性器を強く殴られ大けがをした。その精神的損害賠償を求めるため、同容疑者が公安局を提訴したが裁判に負けてしまった。7月1日、同容疑者はこの公安局にて刃物で警官を次々と刺し殺し、6人が死亡、4人が負傷した。
楊容疑者には犯罪の前科がない。周囲によると、年寄りを大切にする性格のおとなしい好青年であるという。
中国のネットサイトでは、楊容疑者に同情する声が続発し、中国古代の人食い虎(とら)を制する英雄・武松の再来とされた。
9月1日に公表された一審判決では死刑が下され、同容疑者は不服として上訴した。
上海市高等法院(日本の高等裁判所に相当)では10月13日午前9時半、その控訴審が開かれた。裁判の争点は、同容疑者は犯行当時、責任能力があったかどうか。一審の際に、精神鑑定を行ったが、精神の異常が認められなかった。二審の同容疑者の代理弁護人は、被告は犯行当時心身喪失の状態にあると主張し、再度の司法鑑定を要求したが、却下された。判決は当日に言い渡されなかった。
裁判の結果を聞きつけた市民と支援者約千人が、裁判所の周辺に集まった。
複数の参加者から大紀元に情報が寄せられた。
それによると、当時、約60人の警官が現場に配置された。私服警官が一部の支援者らに激しい暴力を振るったため、現場は騒然となり、数百人が「共産党を打倒」「ファッショを打倒」などのスローガンを叫び続けるシーンもあった。警察は現場をビデオ撮影し、その直後、100人あまりを強制連行した。国内外のメディアも複数現場にいたが、支援者への取材は私服警官に阻止されたという。
支援者の一人、中央政府に陳情し続けている上海市民の張翠平さんは大紀元の電話取材で、「楊佳さんがやったことは、我々の心の叫びである。私たちはあまりにも多くの迫害を受けてきた。彼のような勇気がない。その勇気があれば、私も人を殺してしまうかもしれない。彼は私たちの心の中の英雄であり、長年蓄積してきた鬱憤を晴らしてくれた」と話した。
法廷では弁護士の問いに、同容疑者は「犯行を後悔していない」と答えたという。
応援メッセージを書いたシャツを着用する一部の支援者(大紀元)
裁判所周辺に集まった支援者と市民(大紀元)