大手企業賃金滞納、労働者抗議デモ=中国浙江省
【大紀元日本10月16日】中国浙江省紹興市で10月8日午前9時ごろ、地元大手企業の労働者千人以上が抗議デモを行い、工場付近にある金柯橋通りを遮り、交通を妨げた事件が起きていたことを、香港・中国人権民主運動情報センターがこのほど明らかにした。抗議者たちはシンガポールで上場している企業「中国印染ホールディング」の浙江省工場労働者で、会社側が賃金滞納したことに抗議した。
一方、抗議デモ中に公安警察数百人が沿道で待機していたが、労働者との衝突はなかったという。抗議者たちは午後1時ころに解散した。
情報センターによると、企業側はこの頃資金不足に陥り、労働者3千人に対して1~6ヶ月の賃金を滞納していて、各地仕入先に対しても2億元(約28億円)の支払いを滞納しているという。
一方、中国印染ホールディングは同日午後2時にシンガポール証券交易所で、58日間取引中止の緊急発表を行なった。
中国印染ホールディングは中国大陸の大手染色工場の1つで、中国最大手染色企業である「浙江江龍ホールディング・グループ」の傘下企業である。
江龍ホールディング・グループの行政関係者によると、確かに8日に労働者の抗議デモがあったが、県政府がのち介入して融資を行い、デモ当日の夜に、労働者たちに対して滞納した賃金を全額支払ったという。工場はすでに紹興市当局に接収管理されたが、労働者の賃金問題のほかに、仕入先への支払い滞納、民間ローンの問題等大きい残務が未解決のままだという。
江龍ホールディング・グループ関連企業が倒産に直面している状況について、大陸各省メディア、地元メディアは報道を行なったが、今回の群集抗議デモについては一切報道していない。フリーランス昝愛宗(ツァン・アイゾン)さんは、この事件について、「杭州市快報」紙ではオフィスが破壊され、パソコンが強奪されたことなどを報道したが、労働者たちが道路を遮ったりするなどは、群集抗議事件にかかわることのなので、報道はしていない」と分析した。
情報資料によると、江龍ホールディング・グループ企業は研究開発・生産・加工および販売を行なっている大型染色企業で、総資産は22億元(約308億円)。多くの企業を傘下に収めているという。
紹興市企業および労働者運動に熟知する施暁渝(シ・シャウユィ)さんは、紹興市地元では江龍ホールディングのような企業が多く倒産しているとし、これら大企業は実際の運転資金はなく、業務量で支えているだけで、一旦広範囲にわたる経済的不景気または、国家政策による引き締めがあると資金繰りがうまくできずに倒産する可能性は大きいと指摘した。施さんは、「以前にも赤字の商売ばかりをする企業がいて、あるコンテナ運送会社は数千元(約数万円)の金額でも引き受け、とにかく、業務量を多くすることで銀行からの融資を得ていた。このやり方だと早かれ遅かれ、自己資金がないため、崩壊は目に見えている」と指摘した。