警察官らが市政府を攻撃、中国・群衆抗議事件に新たな展開
【大紀元日本12月5日】中国各地で最近頻発している集団抗議事件が、それを取り締まる公安警察でも広がっている。12月2日、湖南省莱陽市で、公安警察官百人以上が市政府の所在地を囲み、収入の増加を要求する抗議事件が発生した。同事件は、60年代から70年代期間の文化大革命以来、初めて警察官が当局を抗議する事件であったようだ。
香港にある中国人権民主運動情報センターの情報によると、抗議に参加した公安警察官は、正式な公安警察官のほか、市パトロール課の保安警察官もいた。中には公安局の警察車両に乗ってデモを行った者もいるという。
抗議者らが市政府ビルの出入口を塞ぎ、政府に賃上げを要求した。怒り噴出の警察官らが、市政府ビル一階の施設と設備などを壊した。3時間も続いた抗議に、警察側からの介入はなかったという。
現地政府のある幹部が、AP通信の取材に対して警察の抗議事件があったと認めたが、衝突の発生は否定した。
香港紙の報道によると、抗議の理由は、給料が余りにも低いからであるという。普通の保安の給料は、一ヶ月650人民元(約日本円一万円)しかないという。
中国語の「中国事情」ウェブサイト(米国)の伍凡・編集長は、抗議の理由は、収入のみではないと分析した。「政府に死ぬほど利用されたが、自分たちの利益は政府に守られるどころか、損害されるばかりである。そういう心理から警察官らは抗議を起したのでしょう」。
伍凡・編集長は、警察も民衆の一部であり、警察内部から、消極的ながらも政府に対抗する現象もすでに起きていると指摘した。「最近、湖南省吉首市で起きた1万人抗議事件で、現地政府が派遣した警察部隊は、全て余所から調達してきた警察だった。現地警察も政府の資金集め事件の被害者であり、民衆の抗議に同情し、ストライキを行っていたからだ」という。
国際社会に実力を見せるための北京五輪が終わって以来、中国各地の集団抗議事件は大幅に増加した。地方から北京に上申する陳情者の数も急激に増えている。