四川大地震義援金、8割が政府の「ポケット」に=清華大学調査
【大紀元日本8月16日】8万8千人以上の死者を出した昨年5月12日に発生した四川大地震では、約767億人民元(約1兆600億円)の義援金が寄せられ、中国史上最多の義援金の記録となった。しかし、国内外から寄せられたこれらの義援金の80%が、政府の財政に組み込まれたことが12日、中国清華大学のNGO研究所による調査結果の発表で明らかにされた。
中国扶貧基金、中国赤十字など21のNGO団体らが12日に北京で開催した交流会で、清華大学のNGO研究所がこの結果を発表した。調査は、同所_deng_国栄(デン・グォロン)副所長のもとで行われ、今年4月30日までに中国各地および海外からの寄付金や被災用物資を調査し統計を出した。義援金総額は767億人民元(約1兆600億円)を超えており、そのうち、政府が直接集めた金額は全体の58%、各地の赤十字、中国慈善会、地方の募金基金に寄せられた金額は全体の約31%を占めた。
一方、被災地で今も活動しているNGO団体やボランティアたちは資金難に陥っていると指摘され、調査チームは報告書の中で、中国政府に義援金の使用状況を公開するよう求めた。
中国国務院による規定では、地方の公益団体は、集められた義援金を使用することが可能なはず。しかし中国7省(市)に対する調査結果では、殆どの義援金は政府に流れ、政府の臨時収入となった。報告書は、80%の義援金が政府に流れた現状は、中国社会の健全な発展にマイナス作用をもたらすと指摘している。
北京の『中国青年報』によると、一部被災地では再建に使用する資金の半分以上は社会からの寄付によるもの。一方、官製民間団体である中国赤十字、中国慈善会など16の国家基金は、集められた義援金の11%しか使えないという。
報道によると、四川大地震発生直後、ボランティア団体300以上(延べ300万人)が支援活動に参加したが、資金不足が原因で、今年の4月にボランティア団体は50を割り、ボランティアも5万人未満に激減したという。また、政府が公共事業を全て請け負うこともNGO団体が正常に発展できない起因という。
これに対して、カナダのアルバータ大学中国学院の姜聞然(ジャン・ウェンラン)教授は、義援金が政府の懐に流入したことは、中国の現行政治体制と政治構造を示唆するものとの見解を示した。中国はここ数年間の改革開放にも拘らず、基本的には一党独裁の政府機関。今回の募金着服の起因でもある。
また、12日の交流会では、_deng_副所長は、欧米社会では公益団体の活動を支援するために予算を捻出しているのに、中国では反対になっていると非難した。