<赤龍解体記>(3) ステルス機をめぐる謎

先月、米ゲーツ国防長官の中国訪問中、中国軍が次世代ステルス戦闘機の試験飛行を行ったが、胡錦濤は事前に知らされなかったとして、物議を醸した。このことについて多くの謎が残されているが、核心的な問題はただ一つ。すなわち胡錦濤はステルス戦闘機の試験飛行を本当に知らなかったかどうかだ。もし知っていたなら何故このような愚かなショーを行なったのか、ということである。

 一カ月経った今、その意図が次第に明らかになってきた。

 ■胡錦濤の「事情知らず」はありえない

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「21世紀は中国の世紀だ」と中国人は気負う。文明史的な視点から見れば、このことばは自惚れの嫌いがあっても、必ずしも過言ではないかもしれない。将来、歴史的事実として証明されるであろうが、中国の台頭およびその影響力の増強は人類文明史の必然のステップであり、歴史の発展の大趨勢である。
2010年10月18日、中共第17期中央委員会第5回全体会議(5中全会)で、江沢民等から強い後押しを受けた太子党の習近平氏が、軍の要職・中央軍事委員会副主席に選出された。これで、軍副主席の選出が見送られるなどの風説が一掃され、習氏がポスト胡錦涛の道を歩めるか否かという謎も解けた。
ムバラク大統領の退陣を促した諸要因の中で、民意や米国の態度の他、軍隊の強い意志と明確な立場が決定的な役割を果たした。
天安門事件後、_deng_小平はこう明言した。「軍が力強く守ってくれなかったら、中共はきっと滅びってしまったにちがいない」
「一国二制度」というサクラがあっても、中共は党内、とりわけ公の場で異なる声を絶対許さず、すべてが全党一致で行動しなければならない。
毛沢東の時代から、中共の指導者たちは自分の権威性とその時代の特性を誇示するために、独自の政治スローガンを打ち出してきた。例えば、江沢民の「三つの代表」や胡錦涛の「調和社会の建設」などは、記憶に新しい。その中共が最近また打ち出してきたのが、「幸福」という新しい政治スローガンである。
福島原発事故を発端として、中国では民衆の塩の買だめ騒動が起きた。この騒ぎは、非常識だとされているが、しかし当事者たちにとっては命や健康にかかわる重大で深刻な問題であった。
重慶市は中国の4大直轄市の1つであり、市のトップである薄煕来は、来年開催予定の中共18大で政治局常務委員に抜擢される有力候補の1人とされ、つねにその剛腕的な政治や突飛な発言により注目され、物議を醸している。
過去一年間、中共政治局常務委員の習近平、李長春、賀国強、周永康および18人の中国人民代表大会副委員長が、走馬灯のように重慶市を視察し、重慶市トップ薄煕来の「唱紅打黒」(革命の歌を歌い、マフィア組織を打撃する)活動を支持した。