【大紀元日本4月12日】中学では、全国一斉テストが2回あった。Key Stage 3 とKey Stage 4で、Key Stage 4は中学卒業資格試験にあたるGCSEのことを指す。 通常、Key Stage1とKey Stage2は、 小学校の2年と6年で行われるが、娘の通った小さな私立では、1年早くKey Stage 2を行い、6年間かけGCSEに取り組ませようという方針をとっていいた。Key Stage 3も中三でなく中二で受験させていたようだ。
イギリスの中学は5年制。高校は2年制でかなり専門的になる。中学4年や5年は、 日本の高校1年生のように、 文科系希望でも一応理科系の授業も履修し、全般的な教科を学んだようだ。
GCSEの準備に入る手前のKey Stage 3では、いわゆる中1、中2の基本的な教科を試験するようだった。いきなり卒業資格試験に挑ませるより、この段階で試験することは賢明だと感じた。
小学校でのKey Stage2の算数だったと思うが、練習問題で1/2+1/3=2/5と回答して、しっかりバツをもらってきていた。分子と分母の発想が皆無なの?と慌てて(イギリスには家に持って帰ってくる教科書というのがないので)文部省から配布される日本の教科書から似たような練習問題を取り出して、練習させた覚えがあった。
筆算などは、特に引き算や割り算でやりかたが違い、娘を混乱させたくないので、家では手が出せなかった。
今回のKey Stage 3では、yやxを利用して、文章題から公式を書き出して問題を解くものがいくつかあった。これも全く娘は概念を把握していないようで、ほとんどホコリを被っていた日本の中学の教科書を開いて、多く練習させた。これでなんとか公式を解くことだけはできるようになったようだ。
バイリンガルは数学が強い、というコメントを耳にしたことがあったが、娘の場合は基本的な計算でまちがいが多く、点数は今ひとつ。実力によってクラスを分類される時、ボーダーラインにいる娘に、上のクラスの方が伸びるからと、思い切って先生が上のクラスに入れてくださった。中学3年のときだったと思うが、複雑なパターンから公式を編み出す文章問題を、先生の特別なヒントを受けながら、娘だけが解けたという数学では珍しい出来事があった。
ピアノの先生も、音楽理論で見事に試験に落ちた娘に対して、「君は難解な問題はすっと解けるけれど、明らかに簡単な問題の答えが出せないね」と娘の頭の構造を不思議がっていた。一例だけとって結論をだすことは無謀だが、日英のかけ離れた異文化間で育ったバイリンガルは、頭の構造が単一言語で育った人間とは異なるのだろうか。日本語と英語の同等な概念を常に肌でキャッチして共通性を見いだしている娘にとって、複雑な状況からパターンを見抜くことは比較的容易なのかもしれない。
(続く)
著者プロフィール:
1983年より在英。1986年に英国コーンウォール州に移り住む。1989年に一子をもうけ、日本人社会がほとんど存在しない地域で日英バイリンガルとして育てることを試みる。
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