【大紀元日本5月16日】中学(5年制)の最終学年で受験するGCSE試験の日本語だけ、1年早く特別に受けられるように学校側にアレンジしてもらった。過去の試験問題などは、私が直接、試験を実施する機関から取り寄せた。
現在の日本語のGCSE試験の内容をホームページで検索したところ、基本文型と語彙最低1000語が必要と書かれていた。聞き取り、口頭(娘の場合は先生がいないので、この試験のオプションはなし)、読み取り、作文に分かれている。作文では、100字程度の文を読んでメモをとることと、2題のうち1題を選択できる160-300字の作文。
メモを取る問題では、誕生パーティーで必要なもののショッピングリストを作ったりする問題があったように記憶している。また、作文では、「学校に誰かが来ました。その話を書きましょう」という過去の問題に、娘が「和田アキ子が学校に来ました」と想像力豊かに書いて私を楽しませてくれた。現代の日本に居住していないため、私の影響で一昔前のキャラクターとの馴染みが深かったりする。日本での自分の体験をメールで友人に書いたりする問題もあった。
日本人感覚も多様に包容する娘の日本語を、このような人工的な枠組みにどうはめるのか、どうやって動機付けしたらいいのかと思い悩んだ。かつての夫の日本語の先生で、当時は英国の大学で教鞭をとっていたベテランの日本人教師に、「おひさしぶり」の挨拶がてら、娘と一緒に会いに行った。
実に経験豊富な方で、娘の作文を見せたら、GSCE試験とのギャップも一目で把握してくださった。「ふーん。これじゃ、つまらないわねえ。でもね、7歳の日本語ぺらぺらな子にね、100点取りなさい、といったら、本当にその子、100点取ったのよ」とよい実例で叱咤激励してくれた。GSCE試験の受験年齢には制限がなく、数学などは親の指導で小さい子がどんどん試験を受けたりしている。
通常では1学期前に校内での模擬試験が行われる。私が担当の先生に2年分の過去の試験問題を取り寄せたと伝えたら、「ちょうどいいわ、昨年の分は模擬試験用にとっといてね」とのこと。というわけで、2年前の試験を、時間を計って家でやってもらい、次に学校で時間を計って先生の監視のもとで「模擬試験」が行われた。
娘が欠席してもかまわないような授業を選んで、「男子の寄宿舎が静かでちょうどいい」と、一人、男子の寄宿舎の片隅で試験を受けたようだった。そして、当日、娘が封筒に入った自分が書き込んだ解答用紙を、持って帰ってきて、「お母さんに見てもらいなさい、って」他に日本人がいないのだから、模擬試験の採点も私がするわけだ。一応、形式的に担当の先生に報告メモをつけて、また娘に学校に持って帰ってもらった。
(続く)
著者プロフィール:
1983年より在英。1986年に英国コーンウォール州に移り住む。1989年に一子をもうけ、日本人社会がほとんど存在しない地域で日英バイリンガルとして育てることを試みる。
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