修煉の物語:中国の最初の尼僧 浄ジェン

【大紀元日本9月19日】中国晋王朝の時代、浄ジェンという尼僧がいました。彼女は、中国史上初の尼僧であると言われています。彼女の本名は仲令儀といい、父親は太守という官職に就いていました。浄ジェンは小さい頃から学問が好きでしたが、不幸にも早くに夫と死別し、若くして未亡人となりました。

出家する前、浄ジェンは時々、貴族の子女に音楽を教えていました。後に知識の豊富な法始という名の僧侶と出会い、運命が変わりました。

法始が寺を建てる時、浄ジェンは力を尽くして助けました。法始との出会いによって、浄ジェンは佛法を知り、出家への願望が芽生えました。浄ジェンが法始にその思いを伝えると、彼は「尼僧は男性の僧侶と違って、守るべき戒律は五百条もあります。私には具足戒(※1)を授ける資格はないですが、習い始めの沙弥尼(※2)の十戒なら授けることができます」と言いました。浄ジェンは迷わず髪を下ろし、十戒の儀式を受けて出家しました。一緒に十戒の儀式を受けて出家した沙弥尼は24人もいました。

出家した浄ジェンは日々修煉に励み、法を広めることに尽力しました。そして、彼女は早く具足戒を受けることを願っていました。その努力の結果、東晋王朝の昇平元年(西暦357年)、浄ジェンは他の4人の沙弥尼と一緒に具足戒を受け、晴れて正式に尼僧になりました。こうして、中国の佛教界で初めて具足戒を受けた尼僧が誕生しました。浄ジェンが具足戒の儀式を受けたとき、この世にはない香りがしたといいます。

それ以後、浄ジェンは修煉において更に精進するようになりました。信者から贈り物をいくら多くもらっても欲を出さず、いつも他人と分け合ってきました。浄ジェンが70歳を迎えたある日、再びこの世にない香りが立ち、人々は空にとてつもない綺麗な光芒が現れるのを目にしました。そこには、1人の女神が花束を持って空から徐々に舞い降りてくるのが見えました。浄ジェンは周囲の人に向かって、「これで、皆さんとはお別れです。これから皆さんは、精進して修煉を続けてください」と述べた後、女神の手を取って空に昇り、消えていきました。美しい虹のような飛行路だけが空に残り、光っていたといいます。

※1具足戒(ぐそくかい)とは、僧の守るべき戒律。完全な、全ての戒の意とされ、男僧に二五〇戒、尼僧に三四八戒があるとされる。

※2沙弥尼(しゃみに)とは、女性の沙弥。仏門に入り十戒を受け、正僧となるための具足戒を受けるために修行する若い男性の僧のことを沙弥という。

(翻訳編集・暁霊)