義援金で建てた校舎、2年で取り壊しに 中国震災復興の闇=四川省

【大紀元日本5月28日】2年前に香港からの義援金で建てられた四川省綿陽市の中学校校舎が、最近取り壊された。香港側は事前の知らせを受けていないと主張、義援金の全額返還を求めている。一方、同校舎を取り壊したのは、土地を買収して高級ホテルを建てるためだったとも報じられている。

四川省綿陽市紫荊民族中学校の校舎は、4年前の四川大地震で倒壊したため、震災後、香港政府と民間団体、現地政府の共同出資により、現在の場所に新校舎が再建されて、2010年3月末に開校した。ところが現地政府は今年2月、「校舎が狭い」という理由で、別の場所に大規模な校舎を建設し始めた。そして今月19日、建ててわずか2年の校舎が取り壊された。

当時、200万香港ドル(約2千万円)の建設資金を提供した香港教育連合会主席・黄均瑜氏はBBC中国語版の取材に対して、「校舎の移転については生徒の将来のことも考慮して了承したが、旧校舎の取り壊しには同意していない上、事前の連絡も受けていない」と話し、提供した同額分の資金を現地政府から回収する意向を示した。

また香港教育連合会と同様、香港特別行政区政府も、同校舎の建設に200万香港ドルを寄付している。24日から26日にかけて、現地の視察に訪れた香港政務司の林瑞麟・司長は、メディアに対して、取り壊しに反対する意向を示すとともに、現地政府に出資した200万香港ドルの返還を求めていくと述べた。

四川省政府は、この校舎取り壊し問題は現地政府である綿陽市の責任であると主張。香港側の意向を尊重すると返答したという。

一方、責任を問われた綿陽市政府は、取り壊しは旧校舎の周辺地区の土地開発を担う民間企業「万達集団」による一方的な行為であったと弁明している。

同中学校は、もともと市内中心部の商業地域に位置していた。一部の情報によると、「万達集団」は、この土地を買収して5つ星級の高級ホテルを建設しようとしているという。

歯に衣を着せぬ報道で人気を得ている中国メディア「南方都市報」は22日の社説で、「今回の校舎の取り壊し問題は、震災後の再建計画のずさんさを露呈するとともに、公共の財産に重大な損失をもたらした。関係者の責任を追究すべきだ」などと批判した。

 (翻訳編集・叶子)
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