中国の貸出バブル、世界経済への脅威=AP通信

【大紀元日本5月9日】世界経済は欧米の債務危機から回復しつつあるが、経済学者は今、中国の貸出バブルが世界の経済成長に対して脅威となしていることを懸念している。これは先月、AP通信が行った30名の経済学者を対象としたアンケート調査で分かった。

弱体化し続けた中国の金融システム

AP通信は4月30日、経済学者が中国の銀行貸出の急増を懸念していると伝えた。2008年に中国政府が当時、世界的金融危機を受け、総額4兆元に上る景気刺激策を打ち出した。大手国有銀行は当時、オフィスビルやマンションの建設、高速鉄道網や地下鉄の建設などに資金を供給していたが、融資の多くは、マーケティングの需要に応じず、地元政府の目玉プロジェクトに流れ込んだ。

国際通貨基金(IMF)は4月27日、中国の民間債務について警告を発した。それによると、非正規銀行を含め、中国の金融システムは「弱体化し続けている」。 中国の「影の銀行(シャドーバンキング)」の残高は現在、中国の国内総生産(GDP)の4分の1に達しているという。

IMFはまた、最近多発しているデフォルト(債務不履行)を取り上げ、この状況が続けば、「中国と世界の金融市場に飛び火し、マイナス反応を引き起こす」と警告した。

地価が5年間で倍増

野村証券は、中国の地価が5年間で倍増したと試算している。英市場調査会社キャピタルエコノミクスの首席アジア経済学者マーク・ウィリアムズ氏は、中国の貸付残高は2008年の対GDP比130%から、 2013年の200%に急増したと指摘し、債務の急速な蓄積は、米サブプライムローン問題と同様、金融危機を引き起こすと警告した。

過剰な融資による建設ラッシュの結果、住宅やオフィスなどを購入する消費者や企業がいなくなる。これは不動産価格の下落につながり、さらに開発業者らのデフォルトを引き起こす。銀行は融資を削減し、経済成長が鈍化するという状況に陥る。

世界経済への脅威

AP通信が収集した調査結果によると、大多数の回答者は、中国の景気減速が貿易相手国の経済成長に対し脅威となるとみている。カナダ、ブラジル、インドネシア、オーストラリアなどはすでにそれを痛感しているという。

カリフォルニア州立大学の経済学教授スン・ウォン・ソン(Sung Wong Sohn)氏は、中国の経済成長率が1パーセント下落すれば、世界の経済成長率を0.3パーセント低下させることになると推定している。

(翻訳編集・李俊然)
関連記事
武漢の感染状況を報道したことで投獄された中国の最初の市民ジャーナリスト・張展氏は2024年5月13日に出所する予定だが、現在の所在は不明である。
米国の超党派議員グループが、「中国共産党が主導する強制臓器摘出犯罪を根絶するために、米国政府が直接行動すべきだ」と呼びかけた。
通常、北京が日本を非難する場合、その文句は決まり文句である。 東京と米軍との緊密な関係や、第二次世界大戦における日本の振る舞いが主な不満である。 しかし、北京が東京で起きていることを懸念するには、もっと現実的で直接的な理由がある。 円の為替レートが約160円まで下落したことは、北京にとって大きな懸念要因である。
このほど、中国青海省の裁判所の開廷中に、上級裁判所の所長らがリアルタイムで裁判中の下級裁判所の裁判長に「遠隔指揮」をしていたことがわかった。