国連の気象災害報告書 「20年間で60万人以上死亡」

国連国際防災戦略事務局UNISDR)が11月下旬に発表した気象関連災害に関する報告書によると、過去20年間で自然災害の発生頻度が増大したため、世界中で60万人以上が死亡、それ以外の被害者はおよそ41億人に達し、被害総額は約234億円に上る。UNISDRは各国に対して、地球温暖化防止協議の重要性を訴えている。

報告書では、自然災害の増加に気象変化がどれだけ関わっているのかを確定する方法はないものの、地球規模で気候変化が起こっていることは紛れもない事実だと指摘している。また、洪水や暴風雨が持続的に増えていること、干ばつ、記録的な猛暑・極寒といった天候不順が頻発していることに懸念を示した。

報告書によると、過去20年の気象災害の中で最も多かったのは全体の47%を占める洪水で、23億人が被災、特にアジア地区に集中している。また、世界41億人の被害者のうち、75%が中国とインドに集中。深刻な被災国として、アジアでは中印のほかバングラデシュやフィリピン、南米ではブラジル、アフリカ大陸ではケニアが筆頭に挙げられている。

報告書はさらに、極端な気象変動が経済面やインフラに大きな損失をもたらしていることも指摘した。1995年以来、世界中で8700万戸の住宅が全壊もしくは半壊し、財産の損失額の累計は1兆9000億ドルにも上るとしている。

11月30日から12月10日の11日間、パリで国連気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)、京都議定書第11回締約国会議(CMP11)が開催され、温室効果ガスの排出を抑制するために、世界195カ国が加盟する条約を策定する予定。UNISDRのマルガレータ・ワルストロム局長(国連事務総長特別代表・防災担当)は、今回の報告書は会議の重要性を強調するものだと述べ、各国の協力を呼びかけた。

(翻訳・桜井信一、編集・叶子)

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