中国伝統文化百景(11)

伏羲の位相―人と神との間

1、神としての伏羲

『太平御覧』巻七八に引く『詩含神霧』(著者不詳。前漢代の吉凶禍福や未来に関する予言の書である緯書の一つ。原書は散逸しており、清代の馬国翰編の『玉函山房輯佚書』に輯本が収録されている)に、「大きな足跡が雷沢にあった。華胥がその足跡を踏んで伏羲を生んだ」とある。雷沢は雷の神が住むところ(『山海経』海内東経に、「雷沢には雷の神があり、龍の体に人の頭」などの記述がある)であるゆえ、伏羲は当然ながら雷神の子なのである。

この説を裏付ける証拠がある。司馬貞は『史記』三皇本紀に「太暤伏羲氏は風性である」とするが、この風は雷と緊密な関係をもち、雷と同じ系列のものまたはそれの派生したものであると考えられる。そして、伏羲の別名に「庖羲」があるが、「庖羲」または「炮犠」は、犠牲を火で臭みを消して熟させること(袁珂:『中国神話伝説』上、92頁。中国民間文芸出版社、1984年9月)を意味しており、火を作る雷と関係していると思われる。

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