億ション352戸が即日完売 上海バブルは続く

中国の不動産バブル崩壊が懸念される中、上海では旧正月後に住宅価格が急上昇しており、このたび売り出された市内の大型分譲マンション全352戸が即日完売したことが大きな話題となった。1戸当たりの販売価格は約1000万元(約1億7300万円)で、日本でいうとまさに億ション。中国当局が2月中旬に不動産取得税率を大幅に引き下げたことが、不動産価格の急騰を招いた最大の原因とみられている。

中国紙、第一財経日報の22日の報道によると、この政策が発表されてから上海の不動産市場は沸きに沸いている。21日に即日完売したマンション352戸は市の中心部に隣接する虹口区内の高級物件で、販売総額は36億元(約622億円)に達した。

上海市内だけでも18カ所ある不動産取引センターには連日大勢の顧客が詰めかけ、購入手続きの順番待ちで長蛇の列をなしているという。

大手不動産会社、上海中原地産の関係者は同紙の取材に対し、大半の持ち主はもとの売出価格を5~10%引き上げていると話した。市の中心エリアの外輪にある築16年の中古アパート物件には、この旧正月後に複数の購入希望者が現れたために持ち主は3回値上げを行い、計70万元(1210万円)を上乗せして500万元(約8640万円)で売却したという。

◇業界関係者「国の政策が不動産価格の急騰を招いた」

旧正月前、中国政府は新たに住宅を購入する際の頭金の下限引き下げ政策を打ち出した。また中国財政部などが19日から、大都市で1軒目の所有住宅を購入する世帯を限定して、不動産取得税率を従来の3%から最大1%まで引き下げる新たな政策を発表したことが、今回の不動産価格上昇の最大の引き金と見られている。

北京や深圳などでも同様の動きが見られる。同紙の取材に対し複数の業界関係者は、これらの政策によって住宅購入希望者が急増していることが最大の原因だとしている。 

中国のニュースサイト、中金網は22日、これら大都市の不動産価格が上昇を続ける主な理由として、地方から大量の優秀な人材が集まるため、住宅の需要が常に高いことを挙げている。その反面、地方都市にはその流れに乗りきれない専門性の低い人材だけが残り、更に地方の小都市ともなれば、人材が留まらない。このため、大都市の不動産価格が上昇を続け、地方都市は横ばい、小都市では逆に価格の下落が生じているという。

(翻訳編集・桜井信一、叶子)

 

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