乗客をハッピーに!

メルボルンの陽気な電車運転士

空は薄暗くどんよりとしていた。しとしとと霧雨が降り続く土曜日の朝、109号メルボルン港行きの電車の乗客たちは、皆沈んだ表情だった。その時、車内アナウンスが流れた。「ご乗車の皆様、どうぞ、ご着席ください。進行中の電車は決してダンスの練習場所ではないですよ」。陽気な声が響き、乗客たちは爆笑する。声の主は運転士のブルース・ワリーさん(Bruce Whalley)。メルボルンで最も楽天的な電車の運転士である。

ワリーさんは61歳だが元気はつらつ。毎日、必ずズボンにサスペンダーと蝶ネクタイのいでたちで出勤する。勤め始めてから3年の間、乗客からの手紙や電子メール、ソーシャルネットワーク(SNS) に送られて来た感謝の言葉は数えきれない。六歳の男の子まで、入学の初日に自分が唯一持っている小遣い75セントを「僕の人生で最高の電車の旅」に捧げるというほどだ。

慌しい現代社会の中で、人々は交通機関を利用する際、往々にしてイヤホンで耳を塞ぎ、外の世界を遮ってしまう。しかし、ワリーさんの電車に乗ると、乗客は彼のジョークに連られて次第に表情が明るくなり、必ず笑顔で下車するという。

▶ 続きを読む
関連記事
スマホの長時間使用は、視力低下、聴力障害、心血管リスク、姿勢異常、生殖機能低下、メンタル不調まで関係します。専門家が指摘する6大リスクと減らし方を紹介。
客室乗務員が勧める搭乗前の9つのマナー。髪を洗う理由から服装・香水・裸足NGまで、機内を快適に過ごすための意外なコツを紹介します。
果物や野菜がすぐ傷む原因は、熟成を促すガス「エチレン」。その働きを理解すれば、熟成を早めることも遅らせることも可能です。食材を長持ちさせる保存ガイド。
がんは「どこにできたか」より「どんな遺伝子異常か」で治療が変わる時代へ。がん種横断治療の考え方と代表マーカー、限界点を整理します。
人工甘味料飲料も糖質飲料も、脂肪肝の発症リスクを高める可能性があることがヨーロッパの大規模研究で判明。毎日の飲み物の選択が肝臓の将来を左右します