【熊本通信】人はパンのみにて
熊本地震の発生から19日目の5月3日、熊本市立図書館に行った。図書館の職員に話を聞くと、「まだ開館していない図書館や公民館も数か所ありますが、ここは地震発生から9日目に開館しました」と話してくれた。
それでも館内には立ち入り禁止区域が数か所あった。書棚を含め、まだ安全が確保できていないからだ。危険な状態の中で再開に向けたスタッフの懸命な復旧作業が想像される。
館内がまだ万全な状況でないにもかかわらず、普段と変わらないくらいの入館者がいた。
水道・ガス・電気といった基本的なインフラはとても重要だ。しかし書棚の前で真剣に選書をする姿や、椅子に座り熱心に本を読んでいる人たちを見ると、ライフライン以外にも人間が生きていく上で大切なものがあるのだと感じる。
「人はパンのみにて生きるものにあらず(マタイ福音書)」という言葉を思い浮かべた。
(文・佐吉)
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