「海外の研究が知りたい」中国アカデミー会員、ネット封鎖解除求める
北京で開かれた科学技術大会の終了後、中国科学院のアカデミー会員78人が、習近平国家主席に対し、海外の科学技術情報を共有できるようにネット封鎖の解除を求める意見書を連名で提出したことが明らかになった。会員は、海外の研究を知ることを希望している。中国語の海外メディア博聞社などが6月1日に伝えた。
アカデミー会員は「ネット封鎖を解除するように」と呼掛け
北京で5月30日、中国科学技術イノベーション大会、中国科学院・中国工程院両院会員大会、中国科学技術協会第9回全国代表大会が開催された。3つの大会が同時に開催されたのは、1978年以来実に38年ぶり。外国を訪問中だった張高麗第一副首相を除く、習国家主席を始め中央政治局の常委全員が出席した。
「中国科学報」5月31日によると、これまで大会で発言したことはなかったという白髪のアカデミー会員は、「疑問がある。要求と言い換えてもいい」と前置きしてこう語った。
「私たち科学研究の人間にとって、厳しいネット検閲によってもたらされる損失は計り知れない。海外のウェブサイトを閲覧することで、世界の科学技術先進国が現在どのような研究をして、その成果がどのように応用されているかを知ることができる。この点を考慮して、科学研究界に特別な便宜を図っていただくわけにはいかないだろうか」。
この発言で会場は一瞬静まり返ったが、それから嵐のような拍手が巻き起こった。発言者の隣に座っていたアカデミー会員がマイクを取り「(海外科学技術との)比較や論文・資料の閲覧ができない状況下では、我々が世界の科学技術のトップを走り、リードしていきたくとも、非常に難しい」と声を上げた。
それを聞いた大会参加者は耳打ちをかわすと、「この意見に大賛成だ!」「この問題が解決出来たら、今回の会議は大成功だ!」「情報の入手が難しければ、科学の発展を阻害することはもちろん、国のイメージも損なう!」
といった声を次々に挙がった。騒然とした雰囲気の中、会場がにわかに活気づいたという。記事はその後「大陸新浪網」「財経網」「中華網」「中国教育科学コンピューター網」といったネットメディアにも次々と転載された。
体制内から初のネット封鎖反対を表明した意見書
中国が強力なネット監視システム「金盾」のファイヤーウォール機能「グレートファイヤーウォール」を完成して以来、体制側の科学者が集団で意見書によりネット封鎖に反対を表明したのは今回が初めて。中国国内のネットユーザーからも大きな反響が沸き起こっている。
江沢民親子の「金盾」が国民を監視している
こうした要求が中国科学院のアカデミー会員から提出されたことで、江沢民親子が作らせた「金盾」が国民を監視しているという事実が再度浮き彫りにされた。
報道によると、「金盾」の構築に対する初期投資は8億ドルで、江沢民の息子江綿恒が直接主導推進していた。「金盾」の主な責任者としては、江沢民、江綿恒、羅干、前公安部部長の賈春旺らが挙げられている。
海外中文メディアの2014年末の報道により、「金盾」から発展した「大情報プロジェクト」によって、13億の中国国民を監視可能なことも明らかになっている。
中国ではフェイスブックやグーグル、ツイッターといった海外サイトの使用が禁じられているほか、Lineや Gmail、Outlookといった通信アプリの使用も認められていない。
(翻訳編集・桜井信一/単馨)