非政府組織フリーダムハウスが10月28日に発表した「2015年ネットの自由度」調査報告書によると、世界的に自由度は5年連続で悪化した。調査対象65カ国のうち、「最悪」と評したのは中国だった。
調査は、表現の規制、検閲システム、ネット利用者の権利などを測り、点数が高いほど「自由度が低い」とみなされる。もっとも自由な国はアイスランド(6点)で、次にエストニア(7点)、カナダ(16点)、ドイツ(18点)、オーストラリア(19点)、米国(19点)、日本(22点)。もっとも自由ではない国は中国で、続いてシリア(87点)、イラン(87点)、エチオピア(82点)、キューバ(81点)。北朝鮮は調査対象国ではない。
報告書によると、世界のネット自由度は悪化の一途をたどっている。42の政府当局は、企業やネット利用者に対して、政治的・宗教的・社会問題を取り扱うWebコンテンツの削除や制限を要求した。また40の政府当局は、ネットで情報共有したために、利用者を拘束した。
ネットの自由度が最悪と評された中国は、検閲をいっそう強めていることで知られる。1月には、ブログ運営などネット上の発言を匿名で行うことを抑制する条例を定めた。また2014年10月には、反テロ法の一環として、すべての電話・ネットの通信製品に対し、政府が裏でアクセスでき、暗号情報を提供する機能を搭載するよう、関連企業に要求した。
今年4月、中国国内ネット利用者が検閲システム「金盾(グレート・ファイアーウォール)」を突破し、海外サイトの閲覧を試しても、官製サイバー攻撃により対象サイトを見られなくするという手法も発覚。これは、「大砲(グレート・キャノン)」と呼ばれている。
2月末、大紀元もサーバ攻撃をうけ、障害が生じた。4月には米情報共有サービスサイト「GitHub」も閲覧不可になった。いずれも、中国当局がらみの組織的な攻撃と指摘されている。
日本は世界ランク7位に位置づけられた。フリーダムハウスが評価したのは、個人情報を検索サイトで発見できないようネットから消去する「忘れられる権利」に関する訴訟の増加や、携帯電話企業の「SIMロック解除」の義務化が決定したこと。マイナス点として、「当局の監視や匿名性が侵されるというプライバシーの懸念にもかかわらず、マイナンバー法が成立したこと」などを挙げた。
(翻訳編集・佐渡 道世)