【漢方】精を養って元気に
まだまだ朝夕の冷え込みが続きます。動物が冬ごもりをするように、人間も活動を控えてエネルギー(気)を蓄える時期です。今回は、生命エネルギーの源である「精」についてご紹介しましょう。
二種類のエネルギーの貯金
漢方医学によると、人間の生命の働きに欠かせない要素は「精」です。「精」とは、人の成長や発育を助け、生殖機能を維持するエネルギーの源のこと。日本でも、古くから精力旺盛とか、精のつく食べ物を食べる、といった言い方があります。この「精」を多く蓄えれば、若さと健康を保つことができます。
「精」には先天と後天の二種類があります。銀行口座に例えてみましょう。一つは、生まれた後に貯めていく貯金です。これは、飲食や呼吸から摂取した物質を精製して作られたものです。定期的にお金(エネルギーの摂取)を入金し、貯まったら少しずつ引き出して使う、いわば普段に使う貯金です。
一方、もう一つは、生まれた時にすでに持っている貯金です。これは両親から受け継いだ先天的なもので、非常に多くのエネルギーを蓄えていますが、普段はあまり使うことがありません。本当に必要な時のために、身体の深部に貯蓄しているのです。この貯金は使えば使うほど減っていきますが、貯めようと思っても取り戻すことはできません。
普段から生活習慣に気をつけ、睡眠を十分に取っていれば、生活用の貯金には十分な蓄えがあります。しかし、よくない生活習慣やストレス、栄養バランスの悪い食事が続くと、貯蓄が少なくなってしまいます。すると、先天の貯金に手をつけなければなりません。先天の貯金を使い続けて底をつけば、いよいよ生命の終わりに近づきます。
精を充分に保持していれば、自然環境や社会環境の変化に対応することができ、病気に対する抵抗力も強くなります。一方、蓄える精が少なければ、老化が速く進み、それによって、眼精疲労や倦怠感、集中力低下、記憶力減退、性力減退、抜け毛、骨粗しょう症、腰痛、膝関節痛などの症状が現れてきます。
それでは、何が一番「精」を浪費させるのでしょうか?それは、「働きすぎ」です。肉体労働だけでなく、頭を使う労働も精を浪費してしまいます。冬の間は特に過労に気をつけ、睡眠を十分に取って休養し、精を養いましょう。
(翻訳編集・郭丹丹)