チベット高原には、少なくとも7400年前、古ければ13000年前から人が定住していた可能性があるという論文が、1月7日付米科学ジャーナル『サイエンス』に掲載された。これは、1998年にチベット平野中央のチュサン(Chusan)という村で見つかった人の手形と足跡の年代を推定した結果によるもの。これまで考えられていた年代より数千年はさかのぼると指摘している。
これまで、チベット高原に人が定住したのは農耕が始まった後の5200年前~3600年前だと考えられていた。しかし、米ワイオミング大学人類学部が海抜4267メートルにあるチュサン遺跡を分析した結果、人間がそれ以前から住んでいたことが分かった。
一部の研究者の間では、初期にチベット高原に居住した人たちは季節的な、あるいは短期的な滞在だという意見があった。一方、今回の研究チームは、チベットの低高地環境からチュサンまでの距離がヒマラヤ山脈を通過して少なくとも370キロメートルもあることから、高地には一時的に居住していたのではなく、永続的に居住していた可能性が高いと指摘している。
米ワイオミング大学人類学部のランディ・ハース氏(Randy Haas)によると、チベット高地と南米のアンデス高地では、人間の環境への適応のしかたが、生理的、遺伝的、文化的に大きく異なっているという。今回の調査結果は、チベット高原の住民が、高地での厳しい環境に対してどのように適応していったのかを研究するのに役立つと話している。
(翻訳編集・郭丹丹)
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