中国不動産バブルの主因「土地公有制」=国内専門家
中国不動産市場は2014年以降、各地で住宅ローン制限や頭金比率の引き上げなどの不動産バブル抑制政策が次々と緩和されたため、昨年価格が大幅に上昇した。これを受けて、昨年10~12月に上海や北京などの20の地方政府は一転して、再び抑制措置の実施に踏み切ったが、まだ大きな下落は起きていない。専門家は、中国当局が長期的に土地を独占することが、不動産バブルの根本的な原因だ。
中国不動産市場調査会社「中国指数研究院」は今年1月に発表した調査報告によると、2016年1~11月100の都市の住宅平均価格は前年同期比17.83%上昇した。北京や上海など10の大都市の新築住宅価格は同20.95%上昇。16年1年間の住宅取引成約規模は過去最高だと、不動産市場の過熱化を示した。
昨年末に各地方政府は価格抑制措置を打ち出したにもかかわらず、今年2月大中都市の住宅価格はふたたび上昇した。
国家統計局によると、2月の70大中都市の内、56の都市の新築住宅価格が前月比で上昇した。1月と比べて、価格上昇した都市の数は11増えた。また全体では、新築住宅価格は前月比0.3%上昇。
なぜ中国当局が抑制措置を実施すればするほど、不動産価格が上昇するのか。
これについて、国内経済学者の高善文氏が14日、金融経済誌「清華金融評論」(Tsinghua Financial Review)に寄稿し、中国不動産バブルの根本的な原因は、土地の公有制である中国では、当局が土地を独占していることにあると指摘した。
高氏は、大中都市の地方政府が近年土地供給量を減らしているため、それらの都市の土地価格と住宅価格が上昇し続けたとの見解を示した。
「当局が土地の供給量を増やせば、土地や住宅価格は下落するが、一方で不動産関連企業に莫大な資金を貸し出して、個人に住宅ローンを行う金融機関や高い価格で住宅を購入した中間層は、大きな打撃を受けるだろう」「一方で、価格が引き続き上昇すれば、低収入層や都市部に移住した若者が不満を募らせる」とし、中国の不動産市場には「政治問題」が絡み、非常に複雑化した。また「欧米諸国は私有制であるため、土地供給側には競争があり、価格の上昇を抑制できる」とした。
過去3週間に、少なくとも新たに22の都市が住宅ローン制限などの抑制措置を打ち出した。しかし、国内経済界では、抑制措置で短期的に価格の下落がみられるが、バブルを根本的に沈静化できないとの見方が広がっている。
米誌「フォーブス」(19日付)コラムニスト、ケネス・ラポザ(Kenneth Rapoza)氏によると、中国最大都市の上海で約93平方メートルの住宅を買うのに、約500万人民元(約8050万円)が必要だ。1平方メートル当たりの価格は約87万円。
しかし、中国当局が公表した統計では、上海市民の一人当たり平均年収は5万4305元(約87万4311円)で、単純な計算では、93平方メートルの住宅を買うのに、約100年かかるという計算になる。
中型都市の南京と杭州に関しては、3月の中古住宅価格は1平方メートル当たりで、それぞれ、2万5000元(約40万2500円)と3万元(約48万3000円)まで上昇した。両都市の一人当たり年収はともに、3万元(48万3000円)以下だ。中国不動産バブルの実状と住宅ローンに苦しむ国民の大変さを物語っている。
(翻訳編集・張哲)