党内闘争

江派封じが狙いか 19大常委選出、ルール定めて候補者を限定

中南海は今秋の第19回党大会(19大)での大幅な指導者層の再編成にむけて、4つの改選ルールを打ち出した。上層部の候補者に資産公開を義務付けるなど、候補者の条件が厳格化される。習近平氏の敵対勢力・江沢民派幹部の進退が注目される。

香港メディアや海外の中国語メディアが相次いで報じたところによると、習近平国家主席が現在、19大の指導者層再編成について準備を進めるなか、中国共産党中央政治局は、党幹部が政治局常委、政治局委員、中央書記処書記、中紀委副書記の候補者は下記の4つのルールを受け入れられることを条件とした。

1.中央政治局委員の8割以上からの賛成票を得なければならない

2.政治局会議と政治局拡大会議で自身の抱負を発表する

3. 本人、配偶者及びその他家族の収入、所有する財産を公開し、党内外からの監督を受けなければならない

4.党機関の審査や監査を受け入れこれに協力し、関連の法的責任を負わなければならない

「資産公開」要求で江派官僚を封じる

これまで中国共産党政権の指導層の人選は、派閥間の駆け引きや人脈を頼りに決定していた。北京の事情筋によると、慣例を打ち砕く上記のルールは、19大での指導者層の再編に大きな影響を与えるという。

一方、習国家主席が「核心」の地位に立ったとはいえ、19大が各派閥の権力闘争の場であることに変わりはなく、習陣営にとっても相応のリスクはある。中国には報道の自由も三権分立もないため、政治改革は容易ではないと、同情報筋は指摘する。

今回の規則が実施されれば、3番目の「資産公開と監督受け入れ」だけで、習政権は、江沢民派官僚の動きを封じることになる。

習主席を組長とし、李克強・王岐山の両氏を副組長に据えた19大準備作業チームはすでに組織されているが、江派の常委3人はこの小組メンバーに加えられていない。

昨年6月以降、習主席は政治局会議でたびたび、現職の政治局常委を名指しで非難してきた。また、「政治生活準則と監督条例」を六中全会で通過させたことは、「刑不上常委(常委の非が内密に処理)」というこれまでの不文律を破棄したことになる。

現在、多くの江派幹部の家族の不正に関わっていた富豪・肖建華氏やその他金融業界の大物らが汚職や不正の捜査を受けている。中南海での江派締め出しは、ますます厳しくなっている。

(翻訳編集・島津彰浩)

関連記事
海南省の省都、海口市秀英区の琼華村で4月30日午前、「違法建築」に対して当局の強制的な取り壊しが行われた。住民へ暴力的な鎮圧する様子を撮影した動画がネット上に公開され、中国国内外に大きな波紋を広げている。
一部の中国製格安スマートフォンに、ユーザーの個人情報を許可なく中国のサーバーに送信するスパイウェアが組まれていると、米モバイルセキュリティ会社の調査で分かった。
2014年に起きたマレーシア航空370便墜落事件は今も多くの謎が残っている。このほど、米国逃亡中の中国人富豪・郭文貴氏から同事件に関する驚愕な証言が飛び出た。中国共産党の内部事情を暴露してきた同氏は9月に入り、Youtubeの動画で、江沢民氏の息子・江綿恒氏が複数回にわたり腎臓移植の手術を受けたと発言した。さらに、2014年に起きたマレーシア航空機失踪事件は移植手術の関係者が多数、同便に搭乗していたため、江沢民派が意図的に墜落させたと証言した。
米連邦議会議員の間では、中国共産党政権に対する懐疑的な見方が強まっている。共和党ダナ・ローラバッカー下院議員はワシントン市内で開かれた「中国における人道犯罪と脱党ムーブメント」に参加し、中国共産党の圧政について言及した。
米ニューヨーク州の検察当局がツイッターで偽アカウントを販売する企業デバミー(Devumi)社を調べており、中国国営の新華社通信が重要顧客の一つであると1月28日、ニューヨーク・タイムズ紙(電子版)が報じた。
中国の第3期全国人民代表大会(全人代、国会に相当)第1回会議は20日閉幕した。開催期間が16日間にわたる異例の長さとなった今回の全人代会議では、国家主席・副主席の任期撤廃をめぐる改憲案が通過し、国家副主席や最高行政機関である国務院総理・副総理などの主要人事が決定された。
近年中国でのシェアリングエコノミーが急速に拡大している。自転車シェアリング、カーシェアリング、携帯充電器シェアリング、雨傘シェアリング、トイレットペーパーシェアリングなどなどの企業が次から次へとと誕生した。