瀕死状態だった野良犬 命の恩人との再会に大興奮
米カリフォルニア州に本部を置く非営利動物救助団体「ホープ・フォー・ポーズ(Hope for Paws)」は、これまで多くの捨て犬や野良猫を救助してきました。救助された動物と人間の間に様々なドラマが生まれました。一つのエピソードをご紹介しましょう。
2013年、同団体はゴミ廃棄場に重病の野良犬がいるとの通報を受け、レスキュー隊が現場に駆けつけました。そこでは言葉を失うほどのひどい光景を目の当たりにしました。ゴミの山に埋もれ、細菌やダニによる皮膚感染症のため脱毛がひどく、皮膚が赤くただれているハスキー犬の「マイリー」がいました。やせ細った体を丸め、息も絶え絶えの彼女はもはやハスキー犬の面影はありません。深刻な栄養失調で、目はうつろで歩くのも困難な状態でした。
スタッフのエルダド・ハガー(Eldad Hagar)さんは、まず食べ物をマイリーに与えてから、ゆっくり時間をかけて優しく触れたり言葉をかけたりしました。マイリーの警戒心が解けていくと、ハガーさんは柔らかいリードをマイリーの首にかけ、立つように促しました。なんとか立ちあがり、ようやく車に乗ることができたマイリー。身体はぐったりしていましたが、ほっと安堵した様子も見せました。
救助センターでは病気の治療だけでなく、精神的なケアもします。細心の看護の下で、マイリーは少しずつ元気を取り戻しました。ちょうどその頃、下水トンネルから救出されたチワワ犬の「フランキー」が保護されました。マイリーはまだ完全に回復していないにもかかわらず、怯えるフランキーに自ら近づき、「大丈夫だよ」と言わんばかりに優しく寄り添いました。マイリーの思いやりある行動をビデオに撮ったハガーさんは感動しました。命の危険にさらされた経験があるからこそ、フランキーの気持ちを察知できたのでしょう。
マイリーは回復した後、里親になってくれた女性の元に引き取られ、今では大切に可愛がられています。10ヶ月が経った時、ハガーさんはマイリーの様子を見ようと里親を訪ねました。すると、マイリーは大興奮。彼女をゴミ廃棄場から助けてくれたハガーさんのことを覚えていたのです。
「犬は助けてくれた人たちに感謝の心を持っているし、感じるのでしょう。これは、救助の過程でできた、人間と犬の特別な関係ですね」とハガーさんは話しています。
(翻訳編集・豊山)