生前の許郴生さん。明慧ネットへ遺族が提供。2012年に突然死したが、遺族はこれを公安の拷問のためだとして裁判を起こした。昨年12月、国に対して賠償金30万元が命じられた(minghui,org)
弾圧18年

法輪功迫害で初 国が遺族に賠償金30万元支給

健康だった母が、わずか半日の拘束で死亡したのは拷問を受けたためだと、法輪功学習者の遺族が公安当局を相手取った訴訟で、裁判所は国に対し、賠償金30万元を支給するよう命じた。法輪功弾圧政策から18年、国の賠償は初めての報告。迫害情報を伝えるサイト「明慧ネット」(中国語)が7月31日に報じた。

湖南省北湖区裁判所は2016年12月、4年前に死亡した法輪功学習者・許郴生さん(47)の死をめぐる案件で、遺族と公安を仲裁し、双方を和解させた。合意文書によると、国は賠償金31万9千600元、扶養費5千400元を支給する。

明慧ネットによると、許さんは2012年、法輪功の資料を地元ホテル周辺で配布している最中、警察に強制連行された。その12時間後、警察は許さんを病院に送致。医師は許さんの心肺停止と診断した。

息子で大学生の楊許俊さんは、母親の死に顔に違和感を覚えた。苦痛にゆがんだまま硬直し、目も半開きだった。息子は記録として、写真に収めた。

許さんの遺族は、健康で元気だった彼女の「突然死」は、惨い拷問によるものだとして、公安当局を相手取り、裁判を起こした。

賠償金支給は命じられたものの、遺族の「勝訴」とは言えない。このたびの仲裁裁判では、遺族側は「5日以内に遺体の火葬」を命じられた。つまり、遺体の検死をしないよう、家族に命じるものだった。

許さんの親族は検死を求めたが、市政治法律委員会、公安局、検察院、裁判所はこれを拒んだ。監察医を依頼するも断られた。親族は義憤を募らせ、遺体の焼却拒否を主張した。

突然の死に住民も怒り 警察へ正義の抵抗も

法輪功学習者である許さんの突然死に、近隣住民は当局に対する不満を募らせた。知人や遺族をサポートする人々は、街頭に貼り紙を貼ったりウェブメールを回覧するなどして、許さんの死に対して当局に責任追及を求める活動を続けていた。

明慧ネットに寄せられた情報によると、張り紙を見た人々は、口々に当局に対する不信感や怒りをつぶやいた。「警官は手先だ、匪賊だ」「気功をやっただけで、どうして死ぬまで拷問するのか。信仰は自由なはず。共産党は人を殺している」。

公安当局は、法輪功迫害に住民が注目するのを恐れている。警官が貼り紙を剥がそうとすると、住民が抵抗。「お前も派出所に連れて行くぞ」と恫喝すると、その人は「私も(許さんと)同じように殴り殺すつもりですか? もし、あなたの家族が同じような目に遭ったら、どうしますか」と逆に聞いた。その警官は立ち去ったという。

全土に及ぶ中国共産党政権による法輪功迫害に対して、一部の市民は、勇気をもって抵抗している。

(翻訳編集・佐渡道世)

関連記事
人気シリーズ「中国ネット小話」第5弾。日本に住んでいると、「邪悪さ」「凶悪さ」が何かとは、感じにくいかもしれない。いっぽう、共産党が独裁体制を敷く隣国・中国では、堂々と悪徳な人物が権力を握るため、道義を無視した不正がまかり通る社会環境にある。この地で「正義」「誠実」を見出すことは難しいが、ひとたび真理を見つけたら「決して手放さない」と神に誓って勇気を示す人がいる国でもある。
独裁国家の残酷な手法に、国際社会から批判の声があがるなか、共産党体制下の中国でも、信条のために捕えられたカナダ人女性実業家が拘束されており、解放活動に注目が集まっている。
法輪功書籍の出版禁止令が2011年にすでに撤廃されてたことが、最近になって分かった。中国大陸で今でも、法輪功書籍を所持するだけで有罪となる。今回の出来事で法輪功弾圧の違法さは改めて浮き彫りになった。一方、胡錦濤政権時代に法輪功問題の解決に動きがあったとみられる。