(Guang Niu/Getty Images)
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言論統制で「言葉狩り」が横行 封建王朝の再来か

西周に厲王という暴君がいた。厲王は巫女を町中に遣わせ、王を非難した者を見つけ出しては死刑に処した。誰もが口でものを言うのを憚るようになり、民は道で会えば、目と目で意志を示すようになったー。これが中国のことわざ「道路以目」(道路、目を以ってす)の由来で、言論弾圧を意味する。まさに、監視社会の現代中国にぴったりの言葉だ。

河北省渋県のある住民は、インターネットで病院食について否定的なコメントをしたため、10日間の勾留処分が下った。中国メディア・新京報が20日に報じた。

この住民は6月、県内の病院に入院中に院内の食堂で食事したが「まずくて値段も高い。量も少ない。これでも人民の病院か?」と思わず不満をネットにぶちまけた。

8月下旬になって、警察当局は「事実をでっち上げ、公共秩序を乱した」として、この住民を10日間の行政勾留処分とした。ネット上では、「立派な言葉狩りだ」「政府を批判したら、死刑になるんじゃないか」と厳しい発言への取り締まりに、不満の声が溢れた。

党大会前、言論統制強まる

中国では、共産党に関する不都合な情報は、当局により徹底して取り除かれる。とくに、今秋開催予定の共産党第19回全国代表大会を控え、当局は言論統制を強めている。

住民がネットにあげた病院食の写真と警察の取り調べを受ける住民(Weibo)
 

1月、当局はネット規制を回避するために必要な仮想プライベートネットワーク(VPN)回線の構築や借用を来年3月まで禁止すると発表した。これまでVPNを通して閲覧することができた検索サイトのグーグルやヤフー、主要なSNSであるフェイスブック、ツイッター、また海外の報道を見る手段は、さらに限定されることとなった。

「ビッグブラザー」よりひどい

 中国6つの監視システム


 

6月1日からネット規制を強化する「ネット安全法」が施行され、ニュースを配信するスマートフォンのアプリにも認可制を導入するほか、プロバイダーに犯罪捜査のための技術提供や協力を義務付ける。また、検閲や特定地域を対象としたネット遮断も法的に認められるようになった。中国内で収集したデータの国外への持ち出す場合は許可が必要で、中国当局が企業のデータを閲覧することも可能となった。

さらに、実名制も導入される。8月25日、中国のネット安全管理当局は、ネット掲示板やコメント機能を持つウェブサイトの運営会社に対して、実名登録していないユーザーは、コメント機能を提供しないようにと指示した。ハンドルネームでコメントを投稿するのは許されるが、サイトには本名でユーザー登録することが義務つけられた。実施は10月1日から。

ネット人口7億人を抱える中国。国民の半数が利用するインターネットの完全規制は、ほぼ不可能だ。安徽省検察院の元検察官・沈良慶氏は大紀元の取材に対し、「食事がまずいと言っただけで勾留処分だ。発言内容の問題より、ネットユーザーを脅す意味合いのほうが強いだろう」と述べた。

「誰も何も言えない恐怖感が市民の間で漂っているのなら、当局の思う壺。まさに『道路以目』が現実になりつつある」と沈良慶氏は言う。

厲王は、誰からも批判されなくなったことに喜んでいた。しかし、賢臣の召公はこう言った。「民の口を塞ぐのは水を塞ぐより悪いこと(防民之口、甚於防水)、つまり、水を管理するために堤防を開けて水を流すように、民を管理するには、思い切り言わせることも必要ではないか」。

それでも、王はこの忠告に耳を傾けず、のちに諸侯によるクーデターで政権は崩壊した。

(文・李沐恩)

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