香港メディア「中国は元首制へと移行すべき」
6週間後に19大開催を控えた敏感なこの時期に、香港メディアが中国の国家体制について、現行の集団指導体制から欧米と同様の元首制への変更を提案する記事を掲載した。同メディアは同時に、中国共産党の最高指導部「中国共産党政治局常委委員会委員(七常委)」に適用されている不文律「七上八下(68歳定年制)」を破棄することも求めている。
香港メディア『月刊超訊』最新号に掲載された記事は現在の集団指導体制が時代にそぐわないと指摘した。「80年代以降、中国共産党は社会に深刻な災難をもたらす毛沢東式の独裁政治を回避するため、集団指導体制によって国の統治を行ってきた。だがこのシステムには最終決定権を持つ者が存在しないことから、さまざまな利益集団の形成に伴って現行体制がもはや機能不全に陥っている。中国人もそのことは熟知しており、集団指導体制を『九龍治水(船頭多くして船山に上る)、集体不負責(誰もは責任を負わない)』と揶揄する声も多い。」
文中では、19大の開催中かそれ以降に現行体制を元首制に移行させる試行期間を設け、続いて内閣制も試みるべきだと提案している。また、政治局常委が再任する際の年齢制限に関する不文律も解消すべきだとしている。
習政権は昨年から、常委制度の廃止と大統領制への移行を匂わせるシグナルを複数回にわたって発してきた。
清華大学社会学部の孫立平教授はかつて、中国当局の集団指導体制が、後を絶たない内部闘争を引き起こす元凶になっているとして、最も効果的な国家体制は、指示系統を明確にしたうえで決定を下す人がその結果に責任を負う、いわゆる首長責任制だと述べている。
それより前にも、習近平国家主席が現行体制を大統領制へ切り替え、中国の政治体制に大変革を起こす可能性が十分あるとの情報があった。またメディアも、習主席は江沢民により規定された「七上八下(68歳定年制)」という不文律を覆すつもりだと再三報じている。
「七上八下(68歳定年制)」が初めて適用されたのは2002年に開催された16大。この時に江沢民と曽慶紅がこの不文律を設けた理由は、当時68歳だった李瑞環の常委再任を阻止するためだった。
この規定に従うと、現在の常委7人のうち、習主席と李克強総理を除く5人が、68歳であることを理由に今年の19大で最高指導者層から引退することになる。
その19大が開催されるのは10月18日。中国共産党最高指導者層の一大人事再編にともない、反腐敗運動の旗印となる王岐山の留任はあるのだろうか。また後継者指名制度に変更があるのだろうか。中国の今後を決定づける19大に、世界の関心が集まっている。
(翻訳編集・島津彰浩)