調査
中国の対外援助、14年間で41兆円「慈善ではなく利益を基準」=米調査機関
中国は最近の対外援助額を公開していない。しかし、ラテンアメリカ、アフリカ、中東、また中国主導の経済圏構想「一帯一路」参加国への中国の巨額投資は、しばしばニュースを賑わせている。最近、米大学研究機関は、中国は米国と同じ規模で途上国へ対外援助を名目とした資金提供をしており、その狙いは、本来の福祉や慈善といった意図ではなく「北京にお金を送り込むような流れを作ることを狙ったビジネス投資だ」と指摘した。
ウィリアム・メアリー大学の対外援助調査機関「エイドデータ調査研究室(AidData Research Lab、以下エイドデータ)」によると、2000年~2014年の15年間で、中国は対外援助として3960億米ドル(約41兆円、期間中の平均為替レート参照)を支出した。これは、世界最大の援助国・米国の3990億米ドルに届きそうな額だ。
英BBCニュースの取材に応じた、エイドデータの研究者セリア・ハットン氏は、中国の非公開の数字を推計するために、中国および関係国政府の公文書、報道、中国の同盟国が発表した援助額と融資額などを調べたという。
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