狼を助けたことから学んだこと
高い知能を持ち、集団生活を好むため、飼いならすのは難しいとされる狼。しかし、時には人間との心温まる交流があるようです。新唐人テレビで伝えられた狼のお話をご紹介します。
あるアメリカ人の男性は、小さい時から世界一周することを夢見ていました。彼は高校を卒業した後は大学に行かず、旅費を貯めるためアラスカへ出稼ぎに行きました。彼は十分にお金を用意してから、2年間の世界旅行をした後、大学に行きました。今では希望通りの職に就き、活躍している彼は、アラスカでの出来事が忘れられないと言います。
彼はアラスカで、森林から伐採した木材を運ぶという仕事を担っていました。ある日、森の中で狼の吠える声が聞こえました。現場は一瞬、緊張が走りました。周辺を見回すと、罠にかかった狼がいました。罠を外してやろうと近づくと、狼は凶悪な様相で何度も彼に襲いかかろうとします。狼からは、母乳がポタポタと垂れていました。きっと、近くに狼の赤ちゃんがいるのでしょう。皆で手分けして4匹の赤ちゃんを見つけると、母親の狼の横に置いてやりました。
彼は身動きできない狼に自分の食べ物を与え、夜はキャンプをして狼一家の安全を守ることにしました。すると、5日目、彼が狼に近づこうとした時、狼の表情は穏やかになっており、尻尾をちょっと振りました。自分への警戒心を緩めたことをが分かりました。3日後、狼は大人しくなり、彼はようやく罠を外すことができました。
狼は彼の手を舐めて友好を示しました。彼が怪我した足の手当てをしてやると、狼は子供たちを連れてそこを去りました。狼は、何度も彼を振り返りました。
自ら誠意を示せば、相手には必ずその気持ちが伝わるのだ、と彼は思いました。獰猛な狼でさえ、最後には人間に心を許したのです。敵であっても、和解して友人になることは可能なのだと考えました。それ以降、彼は誰に対しても誠意をもって接し、心を込めて物事を行いました。彼は仕事において周りから厚い信頼を得て、会社では昇進を重ねました。
アラスカでの経験は、彼にとって一生の宝物になったそうです。
(文・豊山)