(麝影/大紀元)
親孝行

古希を迎えた老萊子(ろうらいし)

 百善は孝を先となすー中国の伝統文化において、親孝行は重要な要素のひとつ。それにまつわる70歳の古老の逸話があります。

 春秋時代(約2400年前)、楚国に「老莱子(ろうらいし)」という隠士がいました。戦乱の世にあって、年老いた親の不安を静めるために、彼の一家は田舎に引っ越しました。彼は70歳になっても色鮮やかな服を着て、子どものように振る舞い、おもちゃで遊ぶ姿を両親に見せて笑わせました。

 また、ある日、彼は水を運んで両親に近づいた時にわざと転倒し、水を浴びてずぶ濡れになった滑稽な姿を見せました。両親は彼のコミカルな姿をみて思わず笑ってしまったと伝えられています。

 「孝」という漢字は、上が「老」で下が「子」。年寄を支える子を意味し、親に尽くすことを示しています。しかし、それは単に親を扶養するのではなく、親に心から仕え、心配させないことを含みます。古希を迎えても、高齢の両親に奉仕した老莱子は真の「孝」を体現しているのです。

 老萊子の孝行は『二十四孝』(中国の有名な24人の孝子の故事をまとめた書物)に取り上げられ、後世に語り継がれています。

(文・豊山)

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東漢の時代、斉国・臨淄(りん・し、現在の山東省淄博市)に江革(こう・かく)という親孝行の子供がいました。彼は幼少期に父を亡くし、母と二人暮らしでした。貧しかった江革は必死に働き、母親を支えました。
漢の時代、江夏安陸(現在の湖北省安陸市)という所に、黃香(こうこう)という孝子がおり、9歳の時に母を亡くしました。家が貧しいことを知っており、子どもながらも苦労を厭わずなんでも進んで行い、一心一意に父親に尽くしました。