中国当局特使 北朝鮮ナンバー2と会談、専門家「大きな成果はなさそう」
中国の宋濤・共産党中央対外連絡部長は習近平国家主席の特使として、17日午後北朝鮮・平壌で朝鮮労働党中央委員会の崔龍海・副委員長と会談した。崔副委員長は金正恩政権ナンバー2の人物だ。北朝鮮国営通信社の朝鮮中央通信によると、宋氏は北朝鮮側に対して、10月25日に閉幕した中国党大会の結果を報告したほか、金正恩委員長宛ての贈り物を託したと伝えた。具体的にどのような品物なのかは言及しなかった。
中朝当局双方の声明や政府系メディアの報道では、北朝鮮の核開発問題や対朝経済制裁については触れなかった。しかし海外メディアの多くは、中国党大会の閉幕とトランプ米大統領の訪中の直後に、宋氏が特使として北朝鮮に派遣されたのは、北朝鮮の核・ミサイル問題をめぐって北朝鮮側と議論するためだ、とみている。
中国当局の高官が前回、訪朝したのは2015年10月。また、中国共産党の第17回党大会、第18回党大会と今回の第19回党大会の閉幕後に、北朝鮮、ベトナムとラオスに、党大会の結果を報告する特使を派遣した。しかし、第17回と第18回は北朝鮮が特使の訪れる最初の国だった。今回はベトナムなどに次ぎ最後の国となった。
さらに、前2回で訪朝した特使は中国共産党中央政治局委員であり、今回の特使を務める宋濤氏より等級が高い。
専門家「北朝鮮核問題をめぐって大きな進展はない」
中国時事評論家の胡平氏は大紀元の取材に対して、「宋濤氏が訪朝しても、北朝鮮の核・ミサイル問題に新たな進展はないだろう」との見解を示した。
中国当局が現在、朝鮮半島の非核化を主張していることに対して、北朝鮮は依然として核開発・核実験を続けていく姿勢を示している。「だた、中国当局は中朝関係のさらなる悪化を避けたいため、一段と厳しい経済制裁の実施に消極的だ」。
トランプ米大統領が訪中の際、習近平国家主席に北朝鮮に対してさらなる圧力をかけていくよう促した。習主席もそれに賛同したが、中国当局が実際に約束通りに圧力をかけていくかは不明だと、胡平氏が指摘した。
米中国語時事情報サイト「縦覧中国」の陳奎徳・編集長は、宋濤氏の訪朝の主な目的は「中国当局の北朝鮮核問題に関する立場、特に習近平国家主席とトランプ大統領が首脳会談で意見交換した内容を通達するためだ」との見方を示した。
陳編集長は、「中国指導部は各方面を考慮している。特に米国の対中貿易圧力において、米国にある程度の譲歩をしようとしている。ただ、どこまで妥協するのかがわからない」とした。また、中国当局は現在金融分野において対北朝鮮の制裁を強めているだけで、まだ北朝鮮への石油供給を止めようとしていないと指摘。
一方、人民解放軍元将校の羅宇氏は、中国当局は北朝鮮に対して「現状維持」を希望しているのではと推測した。
核実験による放射能汚染や山の崩壊は、北朝鮮国内だけではなく、中国東北部までも影響を及ぼしているため、「石油と食料は無償で供給する代わりに、核実験だけは止めてほしいと北朝鮮に命じるだろう」と羅氏が話した。
「なぜなら外交の面において、北朝鮮問題は依然として、中国当局が米国と駆け引きをしていく重要なカードだからだ」とした。
また陳編集長は、宋濤氏が訪朝した後、北朝鮮金正恩政権は挑発行為を控える可能性が高いと予測する。「しかし、狡猾な金正恩は時間稼ぎをしようとする。金正恩らは引き続き核・ミサイルの開発を加速していくだろう」。
(記者・駱亜/薛飛、翻訳編集・張哲)