米当局、渡航安全情報を更新 中国を「十分注意」に引き上げ 

米国務省は10日発表した新たな渡航安全情報では、中国政府が恣意的に中国へ渡航・滞在する外国人を拘束したり出国禁止措置を取ったりするとし、中国(香港を除く)を「十分注意」のレベル2に引き上げた。

同発表によると、旧システム下で継続的に生じた混乱を収拾するため、1年間の検討を踏まえて刷新が行われた。新しいシステムでは、海外渡航する国民向けの国別の安全情報を見直し、渡航危険度を4段階にランク分けし、色別に地図上に示した。

レベル1 (ベージュ)が「通常注意(Exercise Normal Precautions)」で最も危険度が低い。レベル2(イエロー)が「十分注意(Exercise Increased Precautions)」、レベル3(オレンジ) が「渡航の是非検討/中止勧告(Reconsider Travel)」レベル 4 (レッド)が「渡航禁止/退避勧告(Do Not Travel)」で最も危険度が高い。

中国で応用分野が広い「出国禁止措置」

同省は、新たな渡航安全情報で中国の「出国禁止措置」に対し注意を喚起した。中国政府は渡航客の出国を禁止するといった同禁止令を通じて広範な権限を持っている。商事紛争や捜査協力などを理由に、米国民の帰国を禁止する可能性がある。

一方、法的紛争や違法行為の容疑などに巻き込まれていない場合でも、中国当局は裁判所や捜査官への協力を強要するために、連帯責任があると見て長時間にわたって関係者の出国を禁止しかねない。

また、中国へ渡航・滞在する米国民が国家安全保障の理由で拘禁されることがあり得る。 中国の警察官は以前、SNSなどで中国政府を批判した米国民を拘束したことがある。

日本でも中国に渡航・滞在する際の安全問題が重要視されている。昨年9月、中国公安当局は大連市で日本国籍の男性を逮捕したと発表した。2015年以降、計12人の日本人が中国では「スパイ容疑」や「国家安全危害罪」などで拘束されている。日本の外務省が昨年6月、中国への渡航安全情報を更新し、スパイ行為と疑われるような行動を避けるよう呼びかけた。

渡航先の危険度

同安全情報は犯罪やテロ危険度や自然災害、各地の社会や治安などを考慮して作成された。レベル1の「通常注意」は最も安全な旅行先で、世界200以上の国地域のうち、日本をはじめ、香港や台湾、オーストラリアなどが大多数を占めた。

安定した政治的環境を有するイギリスやドイツなどヨーロッパ諸国が今回、相次いだテロ事件によって、レベル2「十分注意」に分類された。

最も危険なレベル4の対象国は北朝鮮やアフガニスタン、イラン、イラク、リビア、イエメンなど11カ国となっている。レベル4の諸国について、国務省は昨年9月、米国の旅券保持者の北朝鮮への渡航を禁止した。それ以外は拘束力を持たない勧告にとどまり、渡航そのものは禁止していない。

 

(翻訳編集・王君宜)

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