小正月 広島 尾道市で伝統のとんど祭開かれる
正月飾りや書き初めを燃やし、1年の無病息災を祈る伝統行事「とんど祭り」が広島県尾道市の山波小学校で、小正月の14日、催された。
「とんど祭り」は、お正月に使ったしめ縄、門松、鏡餅のほか、書き初めなどを持ち寄り、竹で組んだやぐらの中に置いて焼く伝統的な日本の行事。
「とんど」を焼くということには、お正月に年神様をお迎えするのに用意した正月かざりを燃やし、炎と煙とともに年神様に返すという意味合いがある。古くからとんどの炎に当たると風邪を引かないなどの言い伝えがあり、一年の無病息災を願うものだ。都会ではなかなか見られないが、地方に行くと地域のコミュニティーなどがボランティアで行っているのをあちこちで見ることが出来る。
地域によって「どんど」「どんと焼き」「左義長」など呼び名もさまざま、また「とんど」の外観、そのやり方も、その地域に生活してきた人々が代々作り上げてきたもので、その土地その土地での個性があり味わい深い。
山波町の「とんど」は、よく見られる竹でやぐらを作って正月飾りなどとともに焼くという「とんど」とは違い、「とんど」を御神輿のようにかついで校庭内を練り歩き、時に上下に強く揺さぶったり、「とんど」同士をぶつけあう。全国的にも珍しく、この辺りでしか見られないやり方だという。
数時間練り歩き「とんど」が地面におろされると、祭りを見に来た人たちが、しめ縄などの正月飾りや書き初めなどを持ち寄る。いよいよ点火だ。
「とんど」に炎がつけられると、みるみるうちに「とんど」全体が火に包まれ、熱せられた竹が破裂し、あちこちでポンと鳴ったり、ドンと鳴ったり、一気に騒がしくなってくる。煙も立ち上り、とんど祭り特有の煙臭さが辺りに漂う。その年の恵方に(2018年は丙=南南東)向かって倒すのが山波とんどのやり方。
とんどが倒れると、参加者が一斉に持参した餅をとんどの火で焼きに来る、この餅を食べると一年健康に過ごせるといういわれもあり、子どもたちもおいしそうに餅をほうばっていた。
(大道修)