中国国内著名投資家の薛蛮子氏はSNSを通じてこのほど、京都の長屋物件を購入し、改装後に民宿として中国人観光客に提供すると投稿した。(薛蛮子氏の微博より)

中国人が日本の不動産投資を好む5つの理由

中国出身で米国籍投資家の薛蛮子氏(本名薛必群、64)はこのほど、中国人観光客向けの民宿として、京都にある古い町並みの景観が残る長屋を購入した。薛氏が自身のソーシャルメディア「微博」で明らかにした。これをきっかけに、中国国内インターネット上で中国人の日本不動産投資が話題となった。

薛氏は、中国国内政治経済などを評論するブログを多数投稿している。現在自身の微博アカウントに1150万人以上のフォロワーがいる。

薛氏によると、購入したこの長屋は11軒の住戸でつながっている。同氏は「蛮子花間子路」と命名し、今後は改造と内装などを経て、民宿として訪日中国人観光客に提供していくとした。

中国人による日本の不動産投資が年々増えている。中国不動産市場調査会社「房天下」が公表した『2016年中国人による海外不動産購入トレンド報告』によると、日本は中国人主要不動産投資国ランキングの4位となった。

日本の不動産を購入する中国人は富裕層だけでなく、中間層も多くいる。

日本貿易振興機構(JETRO)昨年12月に発表した中国富裕層・中間層の意識調査によると、今後行きたい国・地域として日本は40.2%と1位になった。日本の人気が変わらず高いことを浮き彫りにした。

中国ポータルサイト「網易」は、傘下ソーシャルメディア「微信」アカウント「槽値」を通じて、日本不動産投資が人気である5つの理由を挙げた。

「最大の魅力はなんといっても永久不動産所有権だ」

1つ目は、中国では土地がすべて国有であるため、国民が住宅を購入しても、70年間の房屋使用権と土地使用権しかない。

中国当局の『都市房地産管理法』第22条によると、土地使用権譲渡契約期間が70年過ぎると、住宅保有者は当局に手続きを出して、新たに70年の使用権を申請し、土地使用権譲渡金を支払う必要がある。当局は、「社会公共利益の需要に基づいて、住宅保有者が申請しても、その土地を回収することがある」とした。

日本などで住宅を購入すれば、土地所有権で悩まされることがなく、国に急に土地を徴用される恐れもない。また、自身だけではなく、子供や孫の代もその所有権を受け継ぐことができる。

2つ目は、日本の住宅価格が中国より安いという。中国近年不動産価格の急上昇で、上海や北京などの大都市の住宅価格はすでに東京より高くなっている。また、円安となれば、よりお得な値段で日本での物件を手に入れることができる。

ネットユーザーによると、中国と日本の住宅面積計算方法が違うため、日本では面積70平方メートルの住宅なら、中国では約100平方メートルになる。

3つ目は、投資収益の拡大が望めることだ。2020東京オリンピックを控えているため、東京都内の物件の相場上昇が期待できるという。2008年北京オリンピックの際、03年から08年までの5年間に、北京市内の住宅相場は2倍に上昇した。

中国人投資家は、物件を購入した後に大家として物件を賃貸に出せば、満足できる賃料収入が見込めると考えているという。

 

4つ目は、住宅ローンの金利の低さだという。日本のみずほ銀行や三菱東京UFJ銀行など主要銀行の住宅ローン実質金利(30年固定)が1.362%~1.780%などとなっている。中国金融情報サイト「融360」によると、18年1月現在中国で1軒目住宅を購入する場合、住宅ローンの金利は平均的に5.38%だ。

中国当局は、融資期間5年以上の商業用ローン基準金利は4.9%を設定しているが、昨年各地の不動産価格抑制政策によって、各銀行が住宅ローンの金利を5~20%引き上げたという。

5つ目の理由は、日本の住宅購入を通じて、将来的に日本へ住むことを望んでいる人が多いという。背景には、日本と中国が地理的に近いことや、両国の文化、特に食事が似ている部分が多いため、日本に住んでも不便や不自由を感じないことが挙げられる。

実際日本では、外国人が不動産投資を行い賃貸物件を持つ場合、不動産事業を経営をしているとみなされ、「投資・経営」の在留資格を与えられるため、日本での常駐が認められる。

一方、「槽値」が中国人が海外不動産購入に熱中する理由として、「安心感」だと挙げた。

中国は戸籍制度が原因で、中国人が住むところによって、本人を含む家族らが受けられる医療サービスと社会保障、そして子供の教育環境に大きな格差が生じる。日本や米国、オーストラリアなどの外国なら、国内より優れた環境を共有できるからだという。

ネットユーザー「混世魔王5050」は、「日本の環境は良いし、医療(設備)もいい。食品も安全だ」とのコメントを寄せた。

(翻訳編集・張哲)

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